世界キリスト教連帯(CSW)によると、イラン北部のラシュトにある自宅を13日に襲撃され、妻と共に拘束されたイランのユセフ・ナダルカニ牧師が、妻と共に釈放された。
ナダルカニ牧師の教会の会員で、依然拘束されているヤセル・モサイェブザデーさん、サヘブ・ファダイエさん、モハマドレザ・オミディさんの3人は、以前にもイラン当局に逮捕されたことがある。オミディさんは、2013年に聖餐式でアルコールを飲んだことと、受信機と衛星アンテナを所持していた罪でむち打ち80回の刑に処された4人のキリスト教徒の1人だ。
ファダイエさんとオミディさんの自宅も13日に襲撃され、聖書とコンピューター、携帯電話が押収された。CSWによると、同じ日にキリスト教徒10人の自宅が襲撃されたという。
ナダルカニ牧師は2009年、イランの学校教育におけるイスラム教の独占が違憲ではないかと問うため、子どもたちの通う学校を訪れた際、初めて逮捕された。背教罪で告発され、2010年に死刑判決を受けた。
報道によると、裁判所で死刑を避けるために信仰を捨てるかどうか繰り返し尋ねられたにもかかわらず、ナダルカニ氏は拒否したという。背教罪では無罪とされたが、イスラム教徒に伝道したことで有罪となり、懲役3年の刑に服した後、2012年9月8日に釈放された。同年12月25日にも再び逮捕され、13年1月7日に釈放されていた。
イランは、いまだキリスト教徒にとって最も危険な場所の一つであり、迫害監視団体「オープン・ドアーズ」の「信仰のゆえにキリスト教徒が標的とされる国リスト」では9位となっている。国教であるイスラム教からキリスト教に改宗することは、男性では死刑に、女性では終身刑に値する。昨年、100人以上のキリスト教徒が逮捕または収監され、その多くが身体的、また精神的に虐待された。
イランは、長い間人権侵害を行っており、国内では暴力が増大している。その背景には、イラン当局が「違法なカルト」として糾弾しているキリスト教徒やバハイ教徒などの少数派に対する法的な迫害によって、人権侵害や暴力が正当化されていることがある。
CSWのメルヴィン・トーマス最高責任者は、「CSWはナダルカニ牧師夫妻が釈放されたことに安堵していますが、依然拘束されているヤセル・モサイェブザデーさん、サヘブ・ファダイエさん、モハマドレザ・オミディさんの処遇について強い懸念を持ち続けています」と述べた。
「政府はイランのキリスト教徒の共同体に対する嫌がらせ、特に自宅への襲撃や根拠のない逮捕の繰り返しについて責任を取らなければなりません。私たちはイランに対し、法の下の正義と平等を、その宗教や信念にかかわらず全ての市民に保障することを確約することによって、憲法に規定された人権に対する国際的な義務を全面的に尊重するよう呼び掛け続けます」