イランの革命裁判所は、イラン国内におけるキリスト教に対する新しい取り締まりの一環として、キリスト教へ改宗した18人の投獄を命じた。米FOXニュースなどが伝えた。
FOXニュースによると、その罪状には、伝道、政権批判のプロパガンダ、信仰を実践するために家の教会を設立したことが含まれているという。収容年数は約24年になるとみられているが、イランの司法制度に透明性が欠けるため、個々人がそれぞれ何年収容されるかは明らかになっていない。
ドイツ・ベルリンにある戦略シンクタンク「外交政策サークル」の常任理事でドイツ系イラン人のサバ・ファーザン氏は、「イランの独裁政権の指導者の残酷さは、とどまるところを知りません」と語った。
収容されているキリスト教徒の多くは、イランの宗教指導者に対する脅迫を処罰する、イスラム刑法第500条を理由に2013年に逮捕された。
キリスト教に改宗したイラン人のモラッド・モクタリさんは、06年にイランを脱出した。モクタリさんは、「イランのイスラム政権は、キリスト教に改宗した人をうまく統治することができないので、(キリスト教徒に改宗した人たちに)国を去ってもらいたいのです」と言う。「彼らの名前だけで伝道になります。私はクリスチャンだと言う、イスラム教的な名前を持つ人を想像してみてください」
イランのキリスト教徒は、人口約7800万人のうちのごく少数で、しばしば政府からの迫害に直面している。キリスト教の人権監視団体「オープン・ドアーズ」は、キリスト教徒が信仰の故に迫害されている国のリスト「ワールド・ウォッチ・リスト」で、イランを7位に挙げている。
オープン・ドアーズは公式サイトで、イランではキリスト教に関する活動がほとんど全て違法であるとみなされているとし、「特にペルシャ語でなされている場合は、伝道から聖書の学び、聖書や信仰書の出版に至るまで包括的に違法とされます」と説明している。
さらに、「14年には、少なくとも75人のキリスト教徒が逮捕されました。さらに多くのキリスト教徒が投獄され、留置されている人に対する圧力は高まり、精神的、身体的な虐待も行われています」と報告している。
イランの人権状況は厳しく調査されている。また、以前から疑われている核兵器開発をめぐって、それに反発している米国をはじめとする欧米諸国により、国際的な経済制裁を受けている。
「法と正義のための米国センター」(ACLJ)などの団体は、イランがキリスト教徒に対する扱いを改善し、サイード・アベディニ牧師をはじめとする、収容中の米国人キリスト教徒を解放する明確な兆候を示すまでは、経済制裁を解除するべきではないと主張している。
また、マーク・カート米上院議員(イリノイ州選出)は声明を発表し、「イラン政権によるキリスト教徒、バハーイ教徒、イスラム教スンニ派、政権に反対する一部のイスラム教シーア派、そして他の宗教的少数派に対する組織的な迫害は改善されておらず、むしろ悪くなっています」と指摘。「これは、オバマ大統領がイランでの信教の自由と人権の向上の問題と核兵器開発についての交渉を切り離した直接的な結果です」と述べ、オバマ政権を批判している。