イランで2年前に当局によって不法に接収された教会所持の土地が、イスラム教の祈りのセンターの予定地となる。
アッシリア国際通信の報道によると、土地の所有者であるテヘラン西部にあるカルデア・カトリック教会は、政府に対して土地を返還するよう幾度となく要請してきたが、無駄に終わったと国民議会のジョナサン・ベト・ケリア議員が語ったとする内容の記事を、イランの国営新聞「Sharq」が掲載した。
ベト・ケリア議員は、ハサン・ロウハーニー大統領の少数民族に関する上級顧問アリ・ヨウネシ氏と面会し、同様の要請をしたが、そのことについて何もなされなかった。ヨウネシ氏は元情報保安相で、多くの反体制派の逮捕や暗殺を命じたことで知られている。
イラン国民抵抗評議会(NCRI)の外交委員の一人アリ・サファヴィ氏も、政府が教会に属する土地を接収してイスラム教の祈りのセンターを建てることを批判した。
「この厚かましい接収は、政権の宗教的少数派に対する差別的で偏狭な政策を如実に表すものです」とサファヴィ氏は言ったとされる。「このことは同時に、政権が内政面でも節制と寛容を見せるだろうというむなしい希望を持ち、協調しようとする欧米諸国の政策の失敗をも示しています」
イランは、人権や政治的権利の観点で極端に未発展であることを表す記録を持つ。
アムネスティ・インターナショナルは、このイスラム教シーア派を国教とするイランで、昨年わずか6カ月余りの間に700人が処刑されたことを報告した。その中には「神への敵対」で有罪判決を受けた少数民族や宗教的少数派も含まれており、ラマダン(断食月)の期間ですら処刑が行われた。
処刑された人々の多くは薬物関連の犯罪を犯した者だが、その中には「神への敵対」「地をけがした罪」で有罪判決を受けた少数民族や宗教的少数派、特にクルド人の政治犯やイスラム教スンニ派の信者も含まれている。
米国国務省による2015年度の「人身取引報告書」には、イラン政府職員が女性や少女の性的人身取引に手を染めており、中には少女を強制的に売春組織に加入させる者もいたと記録されている。
「イランは性的人身取引と強制労働の犠牲となっている男性、女性、子どもたちの供給元であり、通過地であり、行先です」と報告書にはある。「組織化された集団がイラン人の女性、少年、少女を、アラブ首長国連邦やヨーロッパ、イラン国内での性的人身取引に従属させています」
米国のイリアナ・ロス・ライティネン下院議員は、イランの核問題に対してオバマ政権がどれほど「責任感のない」対応をしているか、この報告書が示していると述べた。
イランでは、キリスト教徒数人が信仰のゆえに投獄されている。