熊本地震の被災状況について情報を交換し、今後の支援を考えるため、キリスト教団体と地元教会の連絡会が18日、福岡市内の日本イエス・キリスト教団油山シャロームチャペル(横田法路牧師)で開かれた。熊本をはじめとする九州各県にある教会の牧師や、日本国際飢餓対策機構(JIFH)、キリスト者学生会(KGK)九州のスタッフなど約50人が集まった。
熊本ハーベストチャーチ(熊本県熊本市)の中村陽志牧師と、すでに被災地に足を運んだ横田牧師らから現地の状況報告があり、具体的な対応策を検討した結果、「九州キリスト災害支援センター」を油山シャロームチャペルに立ち上げることを決定。今週、福岡市内の牧師たちが集い、さらに詳細を詰める。
集まった人々はまず礼拝をささげた。横田牧師が、フィリピ人への手紙2章1~11節の御言葉から、「ここに今日、私たちが集まった理由は、イエスが何を思い、何をしようとしているのか、その心を基盤にいろいろなことを乗り越えていくことにある。支援の内容は多方面にわたり、その段階もあるが、教会は心と魂のケアに取り組んでいかねばならない。大きな震災に遭うとき、なぜという問いが生まれる。しかしなぜと問うことより、どう応答するかが大切であり、今はそれが問われている」と語った。
一同は、「どうか私たちを一つ心で用いてください。私たち自身を今、おささげします。全てはあなたのものですから、あなたのご自由に用いてください」と祈りをささげた。
この日は、参加者の自己紹介とともに、具体的にどのような支援ができるのか、情報を共有し合った。▽日本福音同盟(JEA):全国レベルの献金・支援の受け付け、仲立ちをすることができる、▽JIFH:4月16日以降すでに3人のスタッフを熊本に派遣。調査と共にパンの缶詰などを配布し、被災地の教会、牧師を支援している、▽福岡キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC):韓国CCCなどの協力により、海外から支援も呼び掛けていきたい、▽KGK九州:学生のボランティアを送ることができる。短期的な支援だけでなく、中・長期的な支援についても可能、▽本郷台キリスト教会:関東の教会とのパイプになれる。中期的に見ると子どもの元気が大人にも元気を与えるので、スポーツ伝道の取り組みを生かすことができる、などの声が上がった。
激しい渋滞のために遅れて熊本から到着した中村牧師は、「わずか数十秒の地震でこれほど人生が、町が変わってしまうのかと、心の整理が今はついていない」と話しつつも、現地の状況を報告した。同教会は、一度目の地震後に片付けた教会堂が2度目の地震でよりひどい状態になった上に、電気以外のライフラインも止まっているが、ボランティア拠点にすることを決めたので、熊本での支援センターとしての活動がすでに始まっているとのこと。
福岡、大分など近隣県の牧師に対して中村牧師は、瓦礫撤去作業・炊き出しなどのボランティアが必要であるとして、それぞれの教会ごとにボランティアチームをまとめて作り、必ず事前に連絡をした上で早急に派遣してほしいと要請した。また、大工、IT、通訳などの専門職ボランティアをはじめとした、経験と知識のある人材が必要だと呼び掛けた。
物資は届き始めているが、「水が必要だというと、水ばかりがたくさん来る」状況にあるという。「フェイスブックにある『熊本教役者会熊本地震支援センター』(注:19日現在は『九州キリスト災害支援センター』に名称変更)のページで、随時必要な物資の状況把握をしてほしい。現場の牧師や働き手は精神的に負担が大きいので、いろいろなことを聞かれるのがプレッシャーになってしまっている。インターネットやテレビを通じて、情報は手に入れてほしい」と話した。
今後は、中村牧師のもとに物資やボランティアの問い合わせが集中することが予想されるため、今週はJIHFのスタッフが現地でサポートに回るが、物資およびボランティアの受付窓口機能を早急に福岡の「九州キリスト災害支援センター」に引き継ぐ方向で準備を進める。
ボランティア保険、会計担当、フェイスブックでの情報発信担当などの役割分担を行い、寄せられる情報を福岡で一本化し、熊本との連携をはかる体制を整えていく。熊本、福岡だけでなく、他県の各地区にも代表者を立て、支援ネットワークをいち早く構築することが求められている。
横田牧師は、「現場の牧師が倒れないように支え、考えるのがわれわれの務め。初期と中長期で状況がどんどん変わるので、その変化に対応するために情報の共有を大切にしていきたい」と話した。