東日本大震災の被災地復興を祈る「東日本大震災3・11復興支援超教派一致祈祷会」が11日、60回目を迎え、教派を超えて教職、信徒ら約100人が参加した。日本プロテスタント宣教150周年記念大会の実行委員らが中心となり、震災の翌月から毎月11日に東京都新宿区のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で開いてきた。
最初に登壇したビリー・グラハム伝道協会(BGEA)アジア地区代表のチャド・ハモンド氏は、「『痛み』を経験するときに、キリストに近づけるということを経験する」と述べ、「私たちも『痛み・悲しみ』を日本の教会、特に東北の教会と分かち合い、それを通して教会の方々と強い絆を築くことができた」と話した。
Ⅰテサロニケ2章8節を引用し、「ビリー・グラハム伝道協会は、これからも日本の教会にコミットし、東北のために祈り続け、サポートしていきたい」と力を込めた。
続いて、宮城県多賀城市の塩釜聖書バプテスト教会が立ち上げた復興支援プロジェクト「ホープみやぎ」の代表で同教会牧師の大友幸証氏が、震災から5年を迎えた被災地の状況を報告した。
被災地では、キリスト教系支援団体が地道な活動を続ける中で、これまでに多くの被災者がイエス・キリストへの信仰を持ち、受洗の恵みにあずかった。大友氏は、「それは、私たち独自の働きによるものではなく、多くのおささげもの、多くのボランティア・宣教師、背後にある多くの祈りによって実現したもの」と語った。
一方で、仮設住宅から復興公営住宅に多くの人が移り住む中で、「引きこもり」や「孤独」といった新たな課題に直面していることを報告した。
塩釜聖書バプテスト教会は、復興支援活動の指針として震災当初から、宣教活動と支援活動を分けることはしなかったという。大友氏は、「支援および宣教活動の動機は、『私たちの隣人をあなた自身のように愛しなさい』『泣くものと一緒に泣きなさい』そして『全世界に出て行って、全ての造られた者に福音を宣べ伝えなさい』という主のご命令に従うものでした」と話した。
大友氏は、3年前に福島から単身でホープみやぎの活動に加わったある女性スタッフの証しを紹介した。女性は、これまでの活動が全てイエス様のご計画であり、その活動の中でイエス様がよいものをたくさん与えてくれた、と感謝の思いを伝えた上で、「私たちには弱さしかないが、イエス様が住んでいてくださる。もし私のうちに優しさがあるなら、それはイエス様の愛」「震災という痛みを通して出会うことができた大切な人たちを、これからも支え、応援していくために、これからもイエス様の愛と共に被災地に出掛けていきます」と述べた。
今後の活動について大友氏は、「復興支援を通して、キリストの手足である教会が、地域の人々の具体的な必要に応えることが、宣教にとって非常に重要なファクターであることを学んだ」と話し、自身が副理事長を務めるNPO法人「いのちのパン」のフードバンクによる継続的な地域支援を進めるため、今後も協力企業の開拓や、賛同者を募っていきたいと抱負を語った。
この日は、ピアニスト兼キーボーディストの末松潤一郎さんが音楽ゲストとして参加。イエス・キリストの十字架によって自身が変られた恵みを証しし、「アメイジング・グレイス」や、ホープみやぎでのボランティア活動を通して生まれた曲「祈り」を演奏した。
参加者たちは、被災者の心の癒やしや行方不明者を探す家族のため、また地元産業の復興、復興支援団体の働きのためなど、具体的な祈祷課題を挙げて祈りをささげた。次回開催は、4月11日午後7時、会場は東京都新宿区百人町1‐17‐8のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会。