日本バプテスト連盟は、「東日本大震災から5年を数えての祈り」を作成し、2月28日に公式サイトに掲載した。
「ぜひ全国の皆様に現地の状況と、現地の思い、そして現地の祈りを共有していただきたいとの願いから、『2016年3月11日東日本大震災から5年を数えての祈り』を作成しました。どうか全国の皆様にもこの現地の祈りに心を合わせていただきたいと願っています」と、同連盟東日本大震災現地支援委員会の金丸真氏(仙台長命ヶ丘キリスト教会牧師)は、全国の加盟教会と伝道所に宛てた文章の中で説明している。
同連盟の林健一牧師(鮫バプテスト教会、青森県八戸市)の署名によるこの祈りは、初めに東日本大震災から5年の間、主なる神からの支えと恵みによって歩みが守られたことに感謝するとともに、震災はいまだ続いているとして「今もなお、被災地で、傷つき、悲しみ、苦闘の中にある人たちと思いを共有する祈りを献げることができますように。思いを同じくするすべての人と心を合わせて、亡くなった人たちを覚え、慰めと希望、新しい勇気と知恵が与えられますよう祈り願います」と述べている。
被災地がまだ「復興の途上」にある一方で「あの震災での出来事が人々の中から過去のものとして葬り去られようとしています」とあり、「主よ、どうか慰めてください。共に寄り添ってください。孤独と苦しみに打ちひしがれている人たちが、あなたの憐れみに支えられて立ち上がることができますように」と述べている。
また、「仮設住宅から出て、新たな場所で歩みを始める人たちがいます。しかし、仮設住宅を出てもこれからの生活に希望を持つことができず、不安を覚えている高齢の人たちがいます。どうやって隣人との関係を作っていいのか戸惑っている人たちがいます。また、復興から取り残されている人たちがいます。・・・仮設住宅で暮らす子どもたちがいます。・・・仮設住宅がある中学校のグラウンドで一度も運動することなく3年間を過ごした子どもたちもいます。当たり前の生活が送れない人たちがいます」として、「主よ、どうかこの人たちが切り捨てられることなく、忘れ去られてしまうことがないように希望を与え続けてください」との祈りが記されている。
福島第一原発事故にも触れ、「住む家を追われ、仕事や地域社会や家族生活を失った人の生の声に耳を傾けさせてください」「『もう元には戻らない』『悔しい』『悲しい』、この現実から私たちが目を背けることがないようにしてください」といった祈りの言葉が述べられている。
さらに、「1日も早い収束がなされますように、これ以上、被害が拡大しないように祈ります」とした上で、「私たちは万物の造り主であるあなたの前にへりくだります。どうか目を上げて、現実をありのままに見る勇気と知恵を私たちにお与えください。あなたの真理に根ざして考え、自分たちの生き方を変えていくことができますよう、私たちを導いてください。私たち一人ひとりが、原子力発電に依存し続けてきた生き方を悔い改め、放射能によってあらゆる被造物を傷つけ続けるという愚かな過ちを二度と繰り返さぬよう導いてください。どうか憐れんでください」と求めている。
最後に、「主よ、どうぞこれからも私たちの行く道を照らしてください。まだ復興は先にありますが、十字架と復活の主イエス・キリストにある慰めの御業が起こされますように。主の真実が現されますように。一人ひとりの命が祝福で満たされ、一つひとつの町や共同体があなたの御心にふさわしく復興されますように祈り願います」と述べて、「主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン」と結んでいる。