今年で55回目となる超教派の聖会「日本ケズィック・コンベンション」が、箱根ホテル小涌園(神奈川県箱根町)で23日から25日までの3日間開催され、宿泊者・聴講者合わせて300人以上が参加した。今回の主題は「生きるにも死ぬにもキリストが」。本場「英国ケズィック」の主要講師陣であるイアン・コフィ、ルース夫妻、米国のロジャー・ウィルモア氏の2人を主講師に迎え、レディス、メンズ、ユースに分かれての各コンベンションなど全部で13の集会が持たれた。
日本ケズィックは毎年、沖縄大会を皮切りに、九州、東北、大阪、箱根、東京、北海道などで開催されている。箱根大会が最も歴史が長く、同会場で54年続けられてきたが、ホテルの全面改築に伴い、来年からは東京近郊に会場を移すことが決定している。
最後の箱根ということで、参加者は、例年以上に意義深い大会になるであろうとの神への期待を抱いて、箱根の山を登って来た。開会に当たり、19日に51回目の大会を無事閉会した大阪大会委員長の長内和頼牧師は、「多くの祈りと協力により、今大会でも、国内外の先生方から聖書の解き明かしをいただき、老いも若きも恵みに浸ることができた。多くの参加者が集められ、ルース氏による婦人の会は席が足らなくなるほどだった。青年の集会も20回目を迎え、ますます活気のある素晴らしいひと時となった」と報告した。
最初の集会は、ウィルモア氏によるバイブル・リーディングⅠ。同氏は、沖縄、九州、大阪大会の講師として来日したが、箱根、東京大会に招かれていた英国ケズィックのCEO、ジョナサン・ラム氏が病のために参加を見合わせることとなり、急きょその代役を務めた。ウィルモア氏は、全3回のバイブル・リーディングを通して、聖書の登場人物に焦点を当てていきたいと話し、その最初に、フィリピの信徒への手紙3:7~16から「ひたすらに励む人パウロ」と題して神からのメッセージを取り次いだ。
パウロがなぜ、霊的な働きに成功することができたのか。それは、「ただ一つのことにだけ目を留めていた」からだと、彼の生活と生き方を見るときに学ぶことができる。
現代人は、忙しい毎日の中でいろいろなことに心を奪われやすく、一度にいろいろなことをしようと「マルチタスク」をしがちだ。そのような状態にあるクリスチャンは、イエス・キリストがぼやけて見えるのではないだろうか。
霊的な成長を目指してひたすらに進んだパウロは、その心が常に自分の救い主であるイエスに向けられていたからこそ、獄中にあってもフィリピの信徒に向けて何度も「喜びなさい」と語ることができた。そんなパウロと、神の御心を行うことだけに励み、顔を真っ直ぐにエルサレム(十字架)に向けて進まれたイエスご自身から学ぼうではないか。
「あなたはあまりにも多くのことに心を向けていないか」と、ウィルモア氏は繰り返し会衆に問い掛けた。
全3回の聖会で講師を務めるコフィ氏は、夫人と共に来日。英国ケズィックの集会で出会って結婚し、新婚旅行もケズィックだったという、ケズィック漬けの夫妻だ。聖会Ⅰでコフィ氏は、「犠牲を払う主の愛」と題してヨハネの福音書19:1~30から、御言葉を伝えた。
レント(受難節)を過ごしている今、あらためてイエス・キリストの十字架によって示された神の愛を教えられたいと、コフィ氏は、ヨハネの福音書に描かれる十字架の場面を、あたかも会衆の目の前で起こっているかのように事細かに描写した。
権力と良心のはざまで葛藤する総督ピラト、心臓が破裂するほどに激しい苦しみを味わい死なれたイエス・キリスト。十字架を取り巻く一つ一つの事柄が、全て「聖書の言葉が実現するため」であったと聖書には記されているが、神の計画であった十字架の意味するところは何であるのか。
その答えを、十字架の目撃者であるヨハネは「全世界の罪を償う」ためであったと後に語っている。また同じくペテロも、「私たちが罪に対して死に、義によって生きるようになる」ためであると教えている。人間の罪を贖(あがな)い、神との関係を回復させ、神との親しい交わりの中に生きる者へと変えることができるのは、十字架で流されたイエスの血しかない。
自分で自分を救うことができない私たちが、救われて豊かな命を与えられ、神の家族として迎えられる。その全ての恵みは、イエスの一方的な愛である十字架によってもたらされた。その事実にもう一度立ち返り、十字架の素晴らしさ、壮大さ、麗しさを覚えたいと語るコフィ氏は、「あなたは、あなたのために死んでくれたイエス様にどう答えるか。感謝したことがあるか」という問いと向き合うよう会衆に呼び掛けた。
ウィルモア氏とコフィ氏によるメッセージの後には、それぞれしばらくの間、奏楽の中で祈りをささげるひと時が設けられた。神の言葉によって心の内側を探られ「自分は神から遠く離れていたのではないだろうか」「自分の罪は赦(ゆる)されているのだろうか」と自らの思い悩みや必要が明らかにされた会衆一人一人は、祈りの中で「ただひたすら主の御言葉に従って歩む者に変えられよう」「もう一度十字架の前に進み出よう」という思いへと導かれた。
2日目・3日目は、朝6時からの早天祈祷聖会に始まり、初日と同じようにバイブル・リーディング、聖会が持たれた。2日目には、レディース、メンズ、ユースに分かれた各コンベンションや幼児祝福式も行われた。また、昨年の箱根大会前日に召天した、日本ケズィック・コンベンション東京委員会メンバーの故・黒木安信氏(ウェスレアン・ホーリネス教団浅草橋教会牧師)の追悼会も開かれた。
箱根大会終了後、27日(土)からは、東京大会がウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会(東京都新宿区)で開かれる。箱根、東京大会に関する問い合わせは、日本ケズィック・コンベンション東京委員会(電話・FAX:03・3291・1910、メール:[email protected])。
続けて、3月1日(火)~3日(木)に開催される北海道大会は、今年で50回目を迎える。箱根、東京大会への参加が見合わせとなったラム氏は、記念すべき北海道大会には参加できるであろうとの見通しだが、同氏の癒やしと、健康のための祈りが引き続き求められている。