今年で54回目を数える超教派の聖会「日本ケズィック・コンベンション」が、箱根ホテル小涌園(神奈川県箱根町)で24日に開幕した。26日まで3日間にわたって開催される。「御霊による自由と聖なる変革を求めて」という主題で、米国からデビッド・オルフォード氏、オーストラリアからビル・ニューマン氏の2人の主講師を迎えた。宿泊者・聴講者合わせて約300人が会場に集まった。
ケズィックは、英国北西部の湖沼地帯にある小さな観光地。数人の牧師たちの祈りに始まり、この地では1875年から実に140年にわたって、毎年聖会が開かれてきた。この聖会では、多くの説教者によって神の言葉が取り次がれてきたが、クリスチャン人生における「実践的、 聖書的、個人的ホーリネス」が大きなテーマ。これまで教団・教派の枠にとどまらず、聖なる生涯を慕い求める世界中のクリスチャンの間に広まっていった。
日本では、1962年にワー ルド・ビジョンの後援により、「日本キリスト者修養会」が箱根湯本三昧荘で開催されたことが基盤となって、後に英国のケズイック本部の了承を得て、毎年2~3月に「日本ケズィック・コンベンション」が催されてきた。
初日の聖会前夜、主催の日本ケズィック・コンベンション東京委員会メンバーで、ウェスレアン・ホーリネス教団浅草橋教会牧師の黒木安信氏が肺疾患により召天した。寂しさを覚えつつ集まってくる人々も多くいたが、同聖会を非常に大切にしていた黒木氏の思いを引き継ぎつつ、天での再会の希望を胸にしての開幕となった。
最初のプログラム、バイブル・リーディングIでは、デビッド・オルフォード氏が、「主イエスの御足のもとにおける礼拝」と題して、ルカによる福音書17章11~19節を講解した。オルフォード氏の父は故スティーブン・オルフォード氏で、親子二代で長らく日本のケズィックに奉仕してきた。
オルフォード氏は、「イエスは重い皮膚病を患っている人たちを見て」という一節から、旧約聖書のモーセが主に呼ばれる場面にある「見よ、イスラエルの人々の叫び声が、今、わたしのもとに届いた。また、エジプト人が彼らを圧迫する有様を見た」という箇所を思い起こさせた。われわれ人間が目をそらしてしまうような、どんなにひどい有様であっても、イエスはご覧になり、語り掛けてくださる。その憐れみの大きさを、われわれはどれだけ感じているだろうか。
10人の皮膚病患者は、イエスによって「清くされた(癒やされた)」が、「清くなる」という言葉は、身体的な病の癒やしだけではなく、罪の汚れから清められるときにも使われる言葉だ。われわれの罪を贖(あがな)い、全ての清めの業を十字架によって成し遂げたイエスにどれだけ感謝しているだろうかと、オルフォード氏は問い掛けた。
「感謝のない心はあらゆる罪の苗床だ」という言葉を引用し、イエスに礼拝するために戻ってきたたった1人のサマリヤ人に倣って、素晴らしい主に真実な感謝をささげようではないか、われわれの信仰を感謝という形で主に表そうではないかと、オルフォード氏は語った。
夕食後の聖会Iでは、ビル・ニューマン氏が、ヨハネによる福音書7章37~39節、エゼキエル書47章1~12節、ヨハネの黙示録22章1~5節から、「3つの川」についてメッセージした。ニューマン氏は、ビリー・グラハム博士とも親交の深い世界的説教者で、今回初めてケズイックの講壇に立った。
「ヨハネ7章37節でイエスが大声で叫ばれたように、今ここに集まっている人々にも、心の一番深いところで満たされることを主は求めておられる」と、ニューマン氏は語り掛けた。その満たしを得るために、聖霊の働きについて説き明かしたニューマン氏は、エゼキエル書47章1節に目を留め、水は目立った場所からではなく、「神殿の敷居の下から湧き上がって」いることを指摘。罪の本質である高ぶり・プライドを取り除き、神の前にへりくだることが聖霊の豊かな働きのために必要不可欠であると話した。
クリスチャンとしての生き方はただ一つ、自分自身が死ぬことであり、日々キリストが私たちの内で生きることが、このケズィックの目的であるとニューマン氏は語る。「ここにいる人々は、長い間クリスチャン生活をしてきた人が多いかもしれないが、もう一度今夜神の前にへりくだり、全てを神にささげようではないか。新しく主に触れられる体験をしようではないか」と、聖会への期待を込めて力強く語った。
2日目、3日目もバイブル・リーディング、聖会が持たれ、オルフォード氏、ニューマン氏と村上宣道氏(日本ホーリネス教団坂戸キリスト教会協力牧師)が説教者として立てられている。また、レディース、メンズ、ユースに分かれた各コンベンションや幼児祝福式もプログラムに組まれている。
ケズィック・コンベンションは、箱根だけでなく各地で開催されており、2月28日~3月1日には東京大会が日本ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会(東京都新宿区)で開かれる。問い合わせは、日本ケズィック・コンベンション東京委員会(電話・FAX:03・3291・1910、メール:[email protected])まで。また、大阪ケズィック・コンベンションは今年で50年回目となることを記念して、英国ケズィック表敬ツアーを企画している。問い合わせは、日本ケズィック・コンベンション大阪委員会(電話:06・6762・7701、メール:[email protected])まで。