NHKは23日、子会社NHKアイテックの社員が2億円余りを着服していた不祥事をめぐり、執行部全役員が役員報酬を一部自主返納すると発表した。
発表によると、自主返納の額は、籾井勝人会長が5割2カ月で、堂元光副会長や専務理事、理事、前専務理事ら他11人が1〜3割のいずれも2カ月。
籾井会長は不祥事を受け、「指導監督の責任を果たすべきNHKとして、痛恨の極みです」とコメント。その上で、NHKアイテックの場合は、関連する技術部門の幹部を非常勤取締役として派遣し、直接的に取締役会への関与も行っていたとして、「いちおう内部統制システムは構築されていた」と説明。また、外部の弁護士の見解も踏まえた上で、いずれの役員・職員も法的責任が問われるまでの義務違反があったとは言えないと判断したとしている。
一方、内部統制システムについては、▼子会社への派遣役員の研修などが不十分だった、▼「タテ」と「ヨコ」の視点で子会社を管理できていなかった、▼NHK本体の内部監査と子会社のモニタリングの関係付けが曖昧だった、▼内部統制関係決議の見直しなどの規律の再検証を行っていなかった、など不十分な点が多数あったと指摘。「これらの内部統制システムの不備により、指導監督機能を十分に発揮できなかった責任がNHKにはあると考えています」と述べ、視聴者や国民に対して謝罪した。
NHKは、再発防止策として、▼NHKアイテックのカバナンス・管理体制の刷新、▼NHKの指導監督機能の強化、▼NHKアイテックの構造改革の断行、▼NHKにおける規律の整備の4つを行うとしている。