NHKの子会社である「NHKアイテック」(東京都渋谷区)は17日、同社の社員2人が、放送関連施設の工事や業務を実態のない会社に発注するなどの方法で、約2億円を着服していた疑いがあることが分かったと発表した。国税局の税務調査で明らかになったという。2人の社員に対しては刑事告訴も検討するという。
着服の疑いがあるのは、NHKアイテックの本社と千葉事業所に所属する、それぞれ40代の男性社員。NHKによると、テレビの地上デジタル化に伴う工事や、国の補助金の対象となる難視地域の共聴施設を設置する工事など、2009年から合計500件以上、総額約4億円の発注を実態のない会社に行っていた。
時事通信によると、架空発注をしていた実態のない会社は千葉県松戸市にある「ケイネット」という会社で、2人のうち本社所属の社員が設立し、役員となっていた。約4億円の発注のうち、約2億円分の工事については外注するなどして実際に行っていたが、残りの約2億円は役員報酬などの形で着服していたとみられるという。
今回の問題を受けて、NHKは緊急調査チームを設置。NHKアイテックと連携して社内調査をさらに進めるとともに、NHKアイテックに対しては、他にも不正がないかを調査し、再発防止のための体制を整備するよう指示した。
NHKアイテックは、「社員の不正行為が明らかになったことは、極めて遺憾です。事実関係を詳しく確認したうえで、厳正に対処します」とコメントしている。
NHKアイテックは、NHKの放送・通信・情報分野における総合技術会社で、放送設備や共同受信施設の保全業務を行っている。社員は2015年3月末現在で約800人。2014年度の売上高は371億円。全国各地に支社や分室、事業所を置いている。