高校の授業料の実質無償化に合わせて導入された就学支援金を不正に受給した疑いで、東京地検特捜部は8日、私立ウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)や同校を運営する株式会社ウィッツ(同)、親会社の株式会社東理ホールディングス(東京都中央区)、生徒の自宅などを家宅捜索した。NHKなどが伝えた。
就学支援金制度は、高校の授業料を生徒に代わって国が学校に支給する制度で、高校の既卒者や在学期間が通算で3年を超える生徒などは対象外となる。しかし、ウィッツ青山学園高校では通信制で、既に別の高校を卒業している受給資格のない生徒が複数入学し、就学支援金を不正に受給していた疑いがあるという。
ウィッツ青山学園高校は、株式会社による学校運営を認める「教育特区」に指定された伊賀市で、2005年に設立された。全日制と通信制があるが、NHKによると、ほとんどは通信制の生徒で、全国に約1100人いるという。
就学支援金について定める法律では、就学支援金を不正に受給した場合、懲役3年以下か罰金100万円以下の罰則を定めている。就学支援金を受ける場合は、課税証明書と申請書の提出が必要だが、NHKが文部科学省の話として伝えたところによると、申請書には高校などに在籍した期間を記入する欄はあるが、高校の卒業の有無は特に確認していなかったという。
就学支援金制度では、公立高校に通う生徒の家庭の年収が約910万円未満場合、1年当たり、全日制では約12万円、定時制では約3万2千円、通信制では約6千円が支給される。一方、私立高校の場合は、所得に応じて加算され、年収250万円未満程度の場合は2・5倍、年収250〜350万円程度の場合は2倍、年収350〜590万円程度の場合は1・5倍支給される。