『週刊新潮』に掲載された、NHKの籾井勝人会長の記憶力に問題があるとする内容の記事で名誉を傷つけられたとして、NHKと籾井会長が、発行元の新潮社(東京都新宿区)に計2200万円の損害賠償などを求めていた訴訟で、東京地裁は21日、名誉毀損を認め、新潮社に550万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を下した。国内各紙が伝えた。
読売新聞や産経新聞によると、『週刊新潮』は昨年4月24日号で、「『籾井会長』の危ない『まだらボケ』」という見出しの記事を掲載。籾井会長が昨年1月、NHKに初出勤する際、ゴルフに行く日と勘違いしていたとして、「認知症の可能性がある」とする専門家の話などを載せた。
時事通信によると、本間健裕裁判長は「NHK元幹部が聞いたうわさ話で客観的な裏付けがなく、運転手に直接取材もしていない」と指摘。記事が真実ではないとし、真実相当性も認められないとした。
NHKと籾井会長は判決を受け、「判決は、週刊新潮の記者が籾井会長本人を取材したというには疑問が残るとしたうえで、十分な取材を尽くすことなく、関係者の話を安易に信用して記事を執筆したものと言わざると得ないと断じました。根拠のない誤った記事であったことが認められたと受け止めています」とするコメントを発表した。
一方、両紙によると、『週刊新潮』編集部は「極めて遺憾。判決の内容を精査し、控訴を検討する」としている。