安倍晋三首相(61)が2011年5月に発行したメールマガジンで、菅直人元首相(69)の福島第一原発事故をめぐる対応を批判していたことについて、菅元首相が名誉毀損に当たると訴えたいた訴訟の判決が3日、東京地裁であった。朝日新聞などの報道によると、判決ではメールマガジンで安倍首相が批判していた内容が「重要な部分で真実だった」と認め、菅元首相の訴えを棄却した。
安倍首相は、11年5月20日、22日、24日に発行したメールマガジンで菅元首相の対応を批判し、「やっと始まった海水注入を止めたのは、何と菅総理その人だったのです」などと述べていた。
これについて判決は、「菅元首相には、東電に海水注入を中断させかねない振る舞いがあった」(朝日新聞)、「記事は事故対応の詳細が判明する前に発信されていた上、菅元首相の資質や政治責任を追及するもので公益性があった」(産経新聞)などと認め、安倍首相に賠償責任はないと判断した。
一方、菅元首相は判決が出る2日前の1日、ブログサイト「BLOGOS」に「安倍晋三議員の虚偽メルマガ」という見出しで寄稿を出している。この中で菅元首相は、安倍首相のメールマガジン3日分の内容を提示し、「淡水がなくなれば海水注入は当然だし、海水注入の開始自体を知らされていない私が止めろというはずがない」などと主張。「東電の武黒氏が東電の吉田所長に海水注水を止めるように言ったが、吉田所長は自らの判断で注水を継続していた、というのが真実」「安倍議員が虚偽情報を流して、私を総理の座から引きずり降ろそうとしたことは明らか」などと述べていた。