東日本大震災の特例措置で受給条件が緩和されていた助成金制度を悪用し、助成金約2億9000万円を詐取したとして、大阪府警は2日、大阪市の人材派遣会社「ビジービー」社長の中村真也容疑者(49)を詐欺容疑で逮捕した。国内主要紙が伝えた。
毎日新聞によると、悪用されたのは中小企業緊急雇用安定助成金(現・雇用調整助成金)。2008年のリーマン・ショック後に中小企業の大量解雇を防ぐために設けられた助成金で、東日本大震災後には会社の売り上げの3分の1以上が被災地の事業所による場合、助成の対象となる特例措置が出されていた。
中村容疑者は、ビジービーの仙台支店の売り上げを水増しし、会社全体の約34%を占めるという虚偽の会計書類を作成・申請することで、11年6月〜12年7月の間に助成金約2億9000万円を不正に受給したとみられている。
読売新聞によると、ビジービーと関連会社計2社を合わせると、不正受給額は総額で約5億9000万円にも上るとみられており、大阪府警は余罪も捜査するという。
中村容疑者は今年9月、毎日新聞の取材に応じ、虚偽申請をしたことは認めているものの、助成金は社員の給与支払いに使い、私的流用は否定していた。