福岡県久留米市の田主丸中央病院で昨年12月、非常勤の医師が麻酔薬と勘違いし、30代の女性患者にインスリン2ミリリットルを誤って注射していたことが明らかになった。インスリンは、糖尿病の治療薬として用いられているが、2ミリリットルは通常の投与量の10〜50倍の量だという。西日本新聞などが伝えた。
同紙によると、女性患者は昨年12月、田主丸中央病院の皮膚科を受診。医師が局所麻酔薬と勘違いし、インスリン1ミリリットルを注射したが、効かなかったため、さらに1ミリリットルを注射したという。2回の注射でも効果がなかったため、容器を確認。間違いに気付いたという。
局所麻酔専用の冷蔵庫に使いかけのインスリンを保管していたため、看護師が麻酔薬と間違えて取り出し、医師に渡したという。看護師も医師も薬品名の確認を怠っていた。
インスリンを誤って注射された女性患者は、低血糖症とみられる強い寒気に襲われ、久留米大学病院に救急搬送され、6日間入院した。同紙によると、健康な人にインスリンを多量に投与すると、低血糖症により命を落とす場合もあるという。
田主丸中央病院はこの医療事故を受け21日、お詫びの文章をホームページ上に掲載。女性患者や家族、関係者らに謝罪するとともに、「地域の中核医療機関として、再発防止策の徹底を行い、信頼回復に病院を挙げて取り組む」としている。一方、監督官庁や司法当局、医師会などには既に医療事故について報告しており、指示を待っている状態だという。