英国のデービッド・キャメロン首相は30日、過激派組織「イスラム国」(IS、ISIS)の掃討作戦のため、英下院に1日間の討議をし、2日にもこれまでイラク国内に限定していた空爆をシリアにも広げることを承認するよう求めると表明した。英BBCなどが伝えた。
キャメロン首相は、空爆に対する議会の支持が高まりつつあるとし、「空爆が国益にかなう正しいもの」だと語った。
一方、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は30日、党員に対し自由投票を認める方針を表明した。コービン党首自身は、討議が2日間ではなく1日のみであることを非難するとともに、キャメロン首相は「戦争へ急ぐことをやめるべきだ」と述べ、空爆のシリア拡大には反対の立場を取っている。
英国は、昨年から米国主導の有志連合によるイラクでの対「イスラム国」の空爆に参加しているが、キャメロン首相は空爆のシリアへの拡大の必要性を訴えていた。労働党内では、シリアへの空爆の拡大をめぐって意見が分かれており、自由投票になった場合、賛成に回る議員も多いとみられている。
今年5月の総選挙により与党・保守党が下院では単独過半数を占めており、BBCの政治担当論説委員であるローラ・クエンスバーグ氏は、約360議員が賛成し、反対に回るのが260議員程度という予想を伝えている。