1994年に米国で始まった、エクストリームスポーツと音楽を通して福音を伝える伝道の働き「The Extreme Tour(エクストリームツアー)」の日本ツアーが、7日から22日にかけて行われた。米国だけでなく、カナダ、欧州、インドなど世界各地で行われているこのツアーの日本での開催は、今回で3回目。米国から2組のゲストアーティストを迎え、日本のアーティストとコラボレーションしながら福島、横浜、東京、愛知を巡回し、ライブハウスや路上で伝道のための演奏活動を行った。17日には、上野恩賜公園(東京都台東区)のホームレス支援・伝道集会「上野よみがえり会」(NPO法人日本福祉会よろこびのこえ主催)に合流し、賛美と炊き出しの奉仕に加わった。
米国から日本ツアーに参加するために来日したのは、ミネソタで結成され、ロサンゼルスを中心に活動する男性スリーピースバンド「SIKA」と、テキサス出身の女性ソロアーティスト「Filia」だ。SIKAのメンバーは、アレキシィー(ボーカル、ベース)、ロッキー(ギター、キーボード)、アンドリュー(ドラム)で、アレキシィーの妻と、アンドリューの弟もサポートのために同行した。米国の住宅事情は日本と大きく異なるので、それがどれだけ大変なことかは定かではないが、なんとアンドリュー兄弟は、今回の日本ツアー資金を賄うために家を売ってきたというから、驚きだ。
この日、上野よみがえり会の集会のトップバッターを任されたツアーメンバーは、ワーシップソングやオリジナルソングを、カホンのリズムに合わせたギターの伴奏で歌った。日本ツアーのコーディネーターを務めている中峰崇裕さんが、「この人たちは、エクストリームツアーという企画で米国から来ました。日本津々浦々を、音楽を携えて回っています。今日は、こうしてみなさんとお会いできてうれしいです」と紹介すると、参加者からは温かい拍手が起こった。SIKAが演奏した曲はすべて英語で歌われ、クラシック音楽のトレーニングを受けているFiliaもオペラの一部をイタリア語で披露した。歌い終わったFiliaは「私は日本語をほとんど話せないけれど」とはにかみつつ「ありがとう」と日本語で礼を述べ、「みなさんを愛しています。イエス様もみなさんを愛しています」と伝えた。
毎週この集会に参加しているという70代男性は、「ビートルズみたいだね。曲も違うし、具体的には言えないけど、雰囲気が似ている」と楽しそうに感想を話してくれた。ツアーメンバーが米国から来たことを聞くと、「わざわざそんな遠くから時間とお金をかけて来るということは、やっぱりキリストの影響を受けているんだろうね。上野公園ではいろいろな国の人が演奏をしているのを見るけど、この集会には来ない。この集会で海外の人が演奏してるのは初めて見た」。
「いつもの歌と全然違うから、何を言っているのか分からないけど、リズムに合わせて自然と体が動く。あと30歳若かったら、前に出て踊ったのに」とこの男性が言うように、実際、多くの人が手を叩きながら、体を揺らしながらメンバーの演奏に耳を傾けていた。中には本当に前方で踊り出す人も。それを見たFiliaが動きを合わせてダンスして集会を盛り上げた。
「今日は米国からの若い人たちの歌声に心癒やされました。国境を越えて神の家族として共に賛美できることを感謝します」と、メンバーの演奏に続いて中村穣牧師(飯能の山キリスト教会)がいつものように賛美をリードし始めると、あちらこちらから「ハレルヤ!」と応答がなされ、一同は手を高く挙げて神を礼拝した。「主われを愛す」など有名な曲が演奏され始めると、ツアーメンバーも参加者と同じように手を掲げて賛美を口ずさみ、集会全体が国籍を超えた一体感に包まれた。
この日のメッセンジャーは、20年近くにわたってホームレス伝道に仕えている、東京聖光教会の辛福圭(シン・ボッキュ)牧師で、ルカによる福音書17章11節の重い皮膚病を患っている10人の人の箇所から、感謝する心の大切さが語られた。集会を終えた後には、「よろこびのこえ」や東京愛宣キリスト教会のスタッフによる炊き出しが行われたが、ツアーメンバーには、バナナ、クッキー、靴下を土産として配布する役割が与えられた。「何と言いながら渡したらよいか」と中峰さんに熱心に尋ねたメンバーは、「主の祝福を」と言うとよいと教えられ、終始笑顔を絶やさずに、丁重に土産を手渡した。炊き出し中も、メンバーに握手を求める人、写真を一緒に撮りたいと近づいてくる人が後を絶たないほどの人気ぶりだった。
今回のツアーを振り返ってSIKAは、「日本でのツアーはとても良い経験になった。米国とは違うことが多いけれど、食べ物も美味しい、人も優しい。ライブで演奏しても、とても良い反応が得られて、エキサイティングだった。もし、僕たちを受け入れてくれるならば、また戻って来たい」と話す。「でも、日本人はちょっと静かだよね。ライブでは、もっと大きい声を出して、騒いでもいいんじゃない?」。Filiaも、「日本での経験はとても素晴らしかった。美しい景色を見て、いつもとは違う文化、食べ物に触れて、自分自身の成長も感じられた」と言い、「Jesus Loves You Japan! Jesus For Japan!」と、日本へのメッセージを残した。
中峰さんは、「3年目となるこのツアーだが、大きなバックアップのない中で開催されており、状況は必ずしも万全とは言えないことも多い。来年以降、さらに良い形で実現できるよう、全力を尽くしていきたい」と話す。体当たりのツアーに、メンバー一人一人が全力を尽くして取り組んでいる。その中で、「神の素晴らしさ、予想を超えた祝福が注がれる経験を、今回もたくさんすることができた」と言い、「その経験を一度でも味わってしまうと、『神は素晴らしい!』という喜びに満たされ、大いに励まされる。ぜひみなさんも参加して、神の愛に溢れた体験をしてほしい」と、来年以降の開催への協力を呼び掛けた。
エクストリームツアーに関する問い合わせは、The Extreme Tour JAPANの中峰さん(メール:[email protected])まで。