【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)は15日、元駐ドミニカ共和国大使のヨゼフ・ベゾロフスキ元大司教を性的虐待罪で起訴し、7月11日に審理を開始すると発表した。AFP通信が報じた。バチカン内で高位聖職者が性的虐待により起訴されたのは、今回が初めて。
ベゾロフスキ元大司教はポーランド出身。バチカンは、同元大司教が定期的に少年らに金銭を与えて性的行為に及んでいたという情報を入手し、2012年にドミニカ共和国から内密に召還していた。AFP通信によると、元大司教は、14年6月に教会内法廷で聖職者資格を剥奪されたにもかかわらず、依然として自由の身だったが、同年9月に自宅軟禁処分となった。バチカンは、この処分は教皇フランシスコから直接下されたものだとしている。さらにバチカンは15日、小児性愛の聖職者から未成年者を守れなかったとして、米国の高位聖職者2人の辞職も発表した。
バチカンは10日、神父らによる児童への性的虐待を隠蔽(いんぺい)した司教を裁く法廷を新設すると発表している。教皇の諮問委員会が法廷設置を求める勧告を出し、教皇が受け入れを決めたもの。性的虐待を隠蔽したり再発防止を怠ったりした司教は、教会法によって「聖職乱用」の罪を犯したとみなされる。バチカンによると、2004~13年の10年間に3420件の虐待被害の申し立てがあり、848人の聖職者が資格を剥奪された。しかし隠蔽した司教の責任を問い、処分を下す組織的な司法制度は整っていなかった。