ドイツ福音主義教会連盟(EKD)は8日、「教会は他者のために ディートリッヒ・ボンヘッファーの没後70周年記念にあたって」と題する記事を公式サイトに掲載した。
EKDはこの記事で、「ナチスの恐怖に抵抗した信仰深い反逆者であったディートリッヒ・ボンヘッファーが70年前、1945年4月9日に殺されて死んだ。EKDは、あの戦争が終わる直前に処刑されたこの牧師について思い、今日、次の言葉を示す」と述べ、「ボンヘッファーは、抑圧や暴力の中で人間の尊厳のために働く人たちにとって、激励となる人であり続けている」という、EKD常議員会のハインリッヒ・ベドフォード・ストローム議長の言葉を伝えた。
記事はまた、「ボンヘッファーの言葉の多くは、今日の福音主義教会を特徴付けている。『教会が教会であるのは、それが他者のために存在する時だ』というのが、その一つである」と述べ、「ボンヘッファーは、私たちが簡単にあしらわれるべきではないということだけではなく、社会において福音が持つ決定的に重要な力を高める必要があることを、私たちに思い起こさせることができるのである」というストローム議長の言葉を伝えた。
また、「ボンヘッファーは単に反逆者であるというだけではなかった。今日まで彼の言葉は慰めである。数えきれないほど多くの葬儀で人々は(ボンヘッファーの詩を)歌う」と述べ、ボンヘッファーが獄中で書き残した詩を紹介した。
ボンヘッファーが処刑される約4カ月前に婚約者へ送ったとされるこの詩は、日本語でも訳され、「善き力にわれかこまれ」(讃美歌21・469番)、『善き力にわれ囲まれて』(新生讃美歌73番)など、賛美歌として親しまれている。
ストローム議長は、「私たちは今もなおボンヘッファーとつながっており、彼の言葉によって慰められ、力を与えられることができる」と述べた。
ボンヘッファーは、1906年2月4日にポーランド西部のウロツワフで生まれた。45年4月9日、第二次世界大戦が終わる3週間前に、ドイツのフロッセンビュルク強制収容所で処刑された。ボンヘッファーはナチスのイデオロギーに反対し、アドルフ・ヒットラーを44年7月20日に暗殺する準備をしていた人たちの輪に加わっていた。
「ボンヘッファーは、自らの政治的行動を常に神学的に正当化していた。彼は膨大な神学的業績を残した。拘留された時期(1943~45年)の彼の書簡や文章は、戦後、『抵抗と信従』『花嫁の手紙 独房92号室』として出版された」と、この記事は紹介している。