紛争中のガザ地区と岩手県釜石市で9日、紛争と東日本大震災の犠牲者を追悼する集会が行われた。遠い国で犠牲となった人たちの苦しみを、強い連帯感を込めて互いに悼んだ。国内外のメディアが報じた。
この日、1000人を超えるガザ地区のパレスチナ人の子どもたちが、日本語の単語や絵で彩った凧を揚げるために、ガザ地区南部の都市ハーンユーニスにある、日本が出資した公営住宅の近くに集まった。
ガザ地区では昨年7月にも、同地区を支配するイスラム主義組織「ハマス」とイスラエルが軍事衝突。1800人以上の犠牲者を出している。そんな中、現地の子どもたちは2011年夏、約1万3000枚のたこを一斉に揚げ、ギネス世界記録に認定された。これがきっかけで2012年以降、凧揚げのイベントは国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) が主催。毎年追悼イベントとして行われてきた。今年は大会の開催が危ぶまれたが、ガザの子どもたちから開催を求める声が上がり、実施することになった。
岩手県釜石市では、被災地支援や難民支援などを行うNPO「日本リザルツ」が企画。同市平田公園野球場グラウンドで中東の紛争地からのエールに応えようと大々的に実施され、紛争と震災での苦労をねぎらうかたちでお互いにエールを送った。
ガザでは、たこ揚げに加え、マイクロソフト社のインターネット電話「スカイプ」を使った釜石との交流や、パレスチナの伝統的舞踊「ダブカ」も披露。現地の女の子、ラヒーン・ザクートさん(14)は、「日本人は困難への立ち向かい方の一番のお手本だ」(時事通信)とコメントした。
また、ハフィントンポストは、「今日参加している子どもたちは、彼ら自身が恐ろしく、また悲惨な状態を日常的に経験しているのに、他者に共感するというパレスチナ人の寛大な精神を具体化しているのです」とするUNRWAオペレーション ディレクターのロバート・ターナー氏の声明を伝えた。
お互いに多くを失ったが、互いの苦労をねぎらい、励まし合い、困難な状況でも明るく生きている。ともすれば問題そのものを見て暗くなりがちになってしまうが、聖書の中でイエスは、「わたしは世の光である。わたしに従う者は暗闇の中を歩かず、光の命を持つ」(ヨハネ8:12)と語る。このように明るく励まし合う空気がもっと広がればと、願ってやまない。