中国のカトリック信者は今年、灰の水曜日のための断食と、中国の旧正月のお祝いのためにきわどい決断をしなければならなかったが、司祭により断食は免除された。
報道によると、東アジアのある聖職者は担当する教会に対し特免を出した。カトリック教会では通常、灰の水曜日に断食をするが、今年はその日2月18日が太陰暦による中国の旧正月の祝日と重なるからだ。中国では、伝統的に旧正月のお祝いでは親族が集まり共に食事をする。
カトリック・ニュース・エージェンシー(ANC)によると、フィリピンの首都マニラ大司教区のルイス・タグレ枢機卿は今月初旬、教区内の教会に宛てて旧正月の「文化的、霊的な重要性と伝統的な習慣により」断食をすることを要しないとする手紙を書いた。
この手紙でタグレ枢機卿は、「ですから、私たちはマニラ大司教区の中国系フィリピン人と中国人の信者に対し、断食と禁酒の義務を2月18日の午後から深夜まで、特例により免除します」と記している。一方、「この特免による恩恵に対して、告解と受難節の趣旨に沿い、告解、特に貧しい人と苦しむ人に対しての恵みと憐れみの行いをしなければなりません」としている。
そして最後には、「新年のお祝いと受難節が、神の御国に立ち返り、新しくする道をもたらしますように。意義のある受難節をお過ごしください。明けましておめでとうございます」と、新年を祝う言葉で終えている。
カナダ・バンクーバーのマイケル・ミラー大司教も、教会員に特免を出した。ミラー大司教が管轄する教区の教会員は、約20%を、中国人、ベトナム人、韓国人、マレーシア人が占める。
ミラー大司教は、教区民に宛てた手紙の中で、カトリック信者が「断食をし、肉を断ち、頭に灰をかぶる」べきその日に、新年をお祝いしたい気持ちの「ジレンマ」について言及。そのため、ミラー大司教は「喜んで忠実な信徒たちの義務を免除します」と述べた。
しかし、ミラー大司教は、この決断をする人は、代わりに他の1日を断食に充てることを強く提案した。
また、「教会の典礼年度の特定の日に対する規則の緩和は、今回1回限りの免除であって、将来の他の年にわたってではないことをご承知おきください」とも書いている。
断食については、日本のカトリック中央協議会のホームページによると、「現在では完全に食事を断つというよりも、十分な食事をひかえること」と考えられており、食事を制限する「大斎」と肉類を断つ「小斎」を、灰の水曜日と復活祭(イースター)直前の金曜日である聖金曜日に守るようになっているという。