ひと切れのクッキーが、毎月1日の午前中、本屋ぴりぽのオープンを待っているかのように送られてきます。ひと切れと言っても本当にたった一つのクッキーが送られてくるわけではありません。約100ピースぐらいだと思いますが、正確に数えたことはないので。
このクッキーをどこで誰がどのように焼いているのでしょう。ここにも本当に主のあわれみと、思いがけない配慮があります。定年をとうに過ぎた、主人の兄、つまり私から言いますと義理の兄です。
もちろん彼はまだイエス様に出会っていません。けれど不思議なことに、主は彼を用いて本屋のお茶タイムに必要な物を送ってくれるのです。なんとも不思議なことです。スイーツが専門ではありませんが、プロの料理人です。いえ、料理人でしたと過去形で言ったほうがいいでしょう。その彼がひょんなことから菓子作りに興味を持ち、ここ4年近く送りつづけてくれています。
ひょんな事といいますのは、あるきっかけがあったのです。宣教師と結婚することになった私の娘の結婚式で、参加してくださったゲストの方々に彼のクッキーを配ろうというのが彼女の魂胆でした。なんと、1000枚焼いてくれました。その大変さは、お菓子作りの好きな方ならよくご存知でしょう。こねたり、引っ掻き回したり? 混ぜたり、最後にはそれを冷蔵庫で一晩寝かせたり・・・。気を使うことがいっぱいあります。姪の初めてのリクエストとあって、義兄はいっぱい作ってくれました。以来、その同じクッキーは本屋ぴりぽにも毎月送られてきます。神様の粋な計らいです。こうしてクッキーとコーヒーが準備され、主にある交わりの友としてくださっています。
さて物理的な用意はほぼ整いましたが、あとは、三重県のクリスチャンの方にどのようにこの本屋の存在を知っていただくか・・・。ご挨拶の手紙と同時にニュースレターを毎月発送することを主が教えてくださいました。
2006年5月から始まったニュースレターは、2015年2月号で85号になります。三重県の教会の四日市近辺、桑名、鈴鹿、津の50軒ほどの教会に発送しています。ニュースレターの内容は毎月新しい情報、新刊のことなどを掲載します。
毎月変わらないで掲載しているのは、「チョッキタイム」。これはカウンセリングコナーのことですが、午前9時から10時、オープン前の1時間を用意しています。なぜカウンセリングかと言いますと・・・。多くの人々は交わりと分かち合いを求めて来てくださいます。本屋なのですが! そこが主のユニークなアレンジです。
本屋オープン中はゆっくりお話の時間が取れない場合も多々あります。お客様が同時に重なった場合など。そのために特別の時間帯をご用意させていただいています。それが「チョッキタイム」です。
主は私を早くからボランティアカウンセラーとして用いようと準備をしてくださったっていたのです。そのことをこのコーナを設ける時に気づかされました。何一つ無駄なことはない。つくづく主のなさることは本当にすごい! と思わされました。
といいますのも、2005年に、そう、まだ本屋ぴりぽは存在せず、祈りの段階にあるとき、友人の宣教師が妊娠と中絶に悩む女性のための支援グループを立ち上げようとしていました。早急にテキストが必要でしたから、娘が翻訳の一部のお手伝いを頼まれ、またその一部を私が頼まれ、という関係から、いつの間にか気がついたら、アメリカから派遣されたカウンセリングチームの研修会に参加していました。その会期が終わって、その団体がライフ・ホープ・ネットワークという名で立ち上げられ、設立時からボランティアカウンセラーとして奉仕を始めていました。今年で10年になります。もちろんそのライフ・ホープ・ネットワークも誕生10年目を迎えました。記事の下にもサイトの紹介があります。ぜひライフ・ホープ・ネットワークのホームページを訪問してみてください。
このようなところも、主が大きなご計画の一部として既に加えてくださっていたのです。本屋ぴりぽでもこの経験から学んだことをシェアし、イエス様にお願いして共にお話を聞いていただき、励ましと知恵をいただけるようにと、このコーナを設けました。ネーミングも、「イエス様、ちょと、ちょっと聞いてください」という意味から「チョッキタイム」としました。人々のお話を伺い、共に祈り合う時間としています。
その場では様々な人々の問題、悩み、苦しみについてお聞きします。ここでも、主は私を聞き手として用いられますが、真の聞き手は主ご自身です。そして決して相談者のためにだけ私が用いられるのではありません。私自身がそこで多くを学び、その方が背負っている問題からあらためて人間とは、また主とは、といった様々なことを違う角度から教えられます。
もう一つは、「ぴりぽツァイ」です。ツァイはギリシャ語でお茶という意味があるそうです。本屋オープンの時ではなく、別枠で日を設け、教派を超えた兄弟姉妹が集まってただ主にある感謝と喜び、食を共にしながら交わろうとする時間です。このような取り組みも主がアイデアを与え、企画し、実行させてくださっています。
いつも私にとって大事な課題は、主からの召しか、単に自分の希望なのかというポイントです。本屋ぴりぽのヴィジョンが与えられた時も、オープンまでに3年の祈りが必要でしたし、これらの小さなヴィジョンに対しても常に祈りが求められます。
しかし、主は私が幸福なクリスチャンになるよう、あらゆることを用意して下っているのです。もちろん私だけではありません、すべてのクリスチャンが幸福になるように。主が弟子の足を洗い模範を示された時、「あなたがたがこれらのことを知っているのなら、それを行うときに、あなたがたは祝福されるのです」と主はおっしゃっているのですから。
尊敬してやまないある英国の説教者が、「幸福なクリスチャンとは、神のみこころを知り、それを行う人です」と記しているように、弱い、ふつう~の主婦である私ですが、主によって、主が言われることを行う人になりたいのです。決して自力ではできない事を主に明け渡していくときに、奇跡の目撃者、当事者になれるのだろうと思います。そしてそこに心から沸き起こる真の喜びがいつも待っているのです。
さて、主にある出会いと交わりを軸に、本を売るだけの目的でない本屋ぴりぽが、主にあってどのように歩んでこられたか。また主がどのようにアレンジされ、あわれんでくださったか。9歳を迎えようとしている主の本屋について少しお分かちできたでしょうか。本屋ぴりぽの生い立ちも今回で5回を迎えました。お分かちしたいことは十分言い足りていないかもしれませんが、大切な紙面です。次回の6をもって最終回にしたいと思います。最終回では本屋ぴりぽで一番取り組みたいと思っていたことをお分かちしたいと思います。
■ 本屋ぴりぽの生い立ち: (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)
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塚本春美(つかもと・はるみ)
兵庫県生まれ。1984年三重県四日市市で受洗。家族は夫と子ども3人。2006年、夫の転勤先で現在の本屋ぴりぽのビジョンを主からいただき現在に至る。ライフ・ホープ・ネットワークのボランティアカウンセラー。
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