学生のリーダーたちと香港政府幹部たちとの会談が、行き詰まりを打破するのに失敗したことから、香港の抗議活動家たちは、民主主義の拡大のために自らの主張を押し進めるべく、中国政府の支援を受けた香港の指導者の自宅に向かって行進することを計画している。
2017年に自らの指導者を選ぶ投票をする機会を香港市民に与えながらも、その候補者を中国政府に忠実な人たちだけに厳しく制限する中国政府の計画に反対するため、デモの参加者たちは香港の大通りを1カ月近く占拠してきた。
抗議活動家たちの行動は違法だとレッテルを貼り、この旧英国植民地の法律の下では、開かれた指名を求める彼らの要求は不可能だと繰り返し述べてきた香港政府と抗議活動家たちの間には大きな隔たりがある。
21日夜にテレビ中継された会談は、誠実に行われ、香港の最高級の幹部5人を、ねばり強くも落ち着いた、黒いTシャツを着た学生のリーダーたちと向き合わせるものであったが、現状打破への期待は大きくはなかった。
抗議活動家たちは、政府幹部たちからの実質的な譲歩が欠如していたと感じたことについて不満に思い、自らの立場を譲らなかった。
一部の人たちは香港の指導者である梁振英行政長官の自宅まで行進するよう呼び掛けた。同長官に辞任をするよう求める要求を繰り返すという。
「自分の不満を表すために、私は今日の午後の行進に参加します」と、29歳の社会福祉専攻の卒業生で、旺角地区で徹夜で抗議活動家たちと野宿をしたケルビン・クワンさんは話した。
19歳の大学生であるアンディ・ラウさんは、今こそ物事を向上させる時だと語った。「この運動を高めることを真剣に考えるべき時だと思います。私たちの要求に本気で向き合い応えるよう政府に圧力をかけるために、私たちの占拠をもっと多くの場所にまで広げるとか」と、彼は言った。
香港は1997年、広範な自治と自由を認め普通選挙を究極の目標として明記している「1国2制度」という決まり文句の下で、英国から中国の支配下へと戻った。ところが中国政府は共産党の権力を侵食する本土の改革を求める模倣的な要求に警戒している。
香港の指導者である梁長官は21日の会談を前に記者団に対し、2017年の香港の選挙の候補者たちを選ぶ委員会が「より民主的に」なりうると語った。それは譲歩の可能性を初めて示すものであった。しかし、「そこには議論の余地がある」と梁長官は述べたが、会談には参加しなかった。
この抗議活動の終盤戦は不明確なままだ。香港の高裁は今週、抗議活動家たちに道路の封鎖を禁止する命令を出したが、警察はそれを実行する気がないか能力がないように見える。
抗議活動のはじめに警察が催涙ガスを使用したことは逆効果となり、香港の多くの人たちを憤らせ、デモ参加者の列を膨れ上がらせた。それ以来、警察は時折コショウのスプレーやバトンを使ったが、街を完全に一掃しようとまではしていない。
香港政府は板挟みの状態にあるように見える。譲歩はできないが弾圧をすれば抗議活動を激化させるだけだと慎重なのだ。分析者たちは香港政府が時節を待っているのだと指摘する。21日の夜に行われた民主主義に関するかつてない開かれた討論は、大多数の人たちの予想を超えて続いてきた運動を退けるよりも、むしろそれとかみ合わせるという香港政府の手法の転換を反映していた。
香港政府の役人たちは、香港の指導者の候補を選ぶ指名委員会がどのように作られるのかについての議論について、見通しを提示し、中国政府に情勢と抗議活動家たちの要求についての報告書を送るとしている。
会談の後、失望した学生たちは、さらなる会談を開くかどうか、まだ決めていないと語った。
「なぜ今夜もたくさんの人たちがまだここにとどまっているのかは、とてもはっきりしています」と、学生のリーダーであるイボンヌ・リョンさんは、香港政府庁舎に近い金鐘地区で、歓声を上げる何千人ものデモ参加者たちに向かって語った。
「それは、彼らが何を言っているのか、私たちにはさっぱり分からないからです。政府はきょうの対話で私たちに具体的な返事や方向性を与えてくれませんでした。私たちはこのことでとても失望しているのです」