香港のカトリック系新聞であるサンデー・エグザミナー紙の編集長は、香港を「座っている都市」だと指摘した。
バチカン放送のインタビューで、同紙編集長のジム・マルロニー神父は、民主派の抗議活動家たちの要求を前に、香港当局が非妥協的であることを示した。
「彼らは北京政府が彼らにできるということしかできないということが、より明らかになりつつあるように私には思える。私たちが行き着いたところは、座っている都市だ。街では学生たちが座っており、そして政府は座って手をこまねいている」
デモの激化は、中国が香港の新しい指導者を選ぶための自由な投票を認めないとしたことがきっかけだ。一部のキリスト教指導者たちはこの運動を支援し、多くの教会が門戸を開いて抗議活動家たちの避難場所や施設を提供してきた。警察がデモ隊を大通りから排除しようとしたときには乱闘が起き、ある抗議者が殴られる映像が広まるなど緊張が高まった。
デモ隊はこの都市の生活に多大な影響を及ぼしてきた。ところが、マルロニー神父は、「デモ隊は犯罪組織に攻撃されてきたし、不満を募らせてきたタクシー運転手やトラック運転手から攻撃された。しかし面白いのは、彼らへの支援が増大していることだ。彼らの戦術を支持しないかもしれない人たちでさえも、彼らの究極的な目標を支持しているのだ」と語った。
高まる緊張を受けて、香港の聖公会指導者が静穏を呼び掛けた。
ポール・クウォン(鄺保羅)大主教は声明文を発表し、「占拠運動について社会各層の人たちがさまざまな立場をとり、地域社会や家族、学校、教会は、行われてきた主張や反論をめぐってますます分裂してきている」と認めた。
「多くの人々が街で起きていることによって不便な思いをしており、この1週間で抗議をする人たちの数が減ったとはいえ、対立は解決していません」
「真の対話に取り組むために、私たちはお互いの信頼をもっと大きくする必要があります。しかしながら、これはまだ起こっていません。私たちの聖職者や信徒、そして香港の全ての人々は、この状況の重大さを共有しており、現在の苦しい体験を非常に困難な試練として認識しています。私たちは深い内部的対立と分断という状況に今後長い間直面するでしょう」と、クウォン大主教は続けた。
大主教は和解と牧会的ケアという教会の奉仕を強調し、「私たちがお互いを理解し合い、自らの違いを解決しようとするにあたって、この領域のために、そして私たちの国のために、共に働きましょう」と、声明を結んだ。