【CJC=東京】香港で行われた「民主化デモ」の前線にキリスト者の姿も見られる。米メディア「ハフィントン・ポスト」がキリスト教系メディアなどによってその実情を紹介している。
バチカン放送は、カトリック、メソジスト、聖公会などが、デモ参加者に食事、睡眠、祈祷の場として教会を開放したと報じている。デモ会場で「祈祷会」を行う例も見られた。カトリック系UCAN通信は、プロテスタント、カトリック双方の学生がパンを1000切れ以上、行政庁舎を囲んでいる抗議参加者に配ったと伝えた。参加者の中には路上で徹夜した人もいた。
香港城市大学のジョセフ・鄭宇碩教授(政治学)によると、キリスト者には、反北京抗議を支える強力な理由がある。「香港のキリスト者は、経済発展が中国では宗教に対する寛容を進めることにはならなかったのを見た。経済発展にもかかわらず、生活水準が改善し、外側の世界へ門戸を開けたにもかかわらず、特にキリスト教への寛容は進んでいない。実際この2年は抑圧は強化されている」と鄭氏はUCAN通信に語っている。
デモの強力な支援者と見られるカトリック教会の陳日君枢機卿(引退司教)は、「自由でありたい、奴隷にはなりたくない、と意思表示する、今がその時なのだ。わたしたちは団結しなければならない」とロイター通信に語った。キリスト者は闘争に加わるべきかとの問いには「カトリック教会では、皆が、参画の度合いはさまざまでも、かかわる権利と義務がある」と答えている。
抗議の先頭に立っているプロテスタントの1人は17歳のジョシュア・ウォンさん。中流のキリスト者の家庭に生まれ、九龍の私立合同基督教学校で学んだ。子どもの時から父親が香港の貧困地区に連れて行った。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によると、「父は、私に見捨てられた人たちの面倒を見るべきだ、と話した。その人たちは福音を聞いたことがなく、孤独で生活するのがやっとだった」とウォンさんはブログに書き込んでいる。
北京政府への抗議活動の中で、「過激派」とか「馬鹿者」とかレッテルを貼られたものの、ウォンさんは楽観的だ。「戦いが相当長引くとは思わない。民主化への努力が長期戦となるからと、ゆっくり取り組んでいたら、いつまでも目標にたどりつけない」と米CNN放送に語っている。