聖公会香港大主教が14日、アングリカン・コミュ二オン・ニュース・サービス(ACNS)で、香港の民主化を求める抗議活動について、自らのコメントを発表した。以下、そのコメント。
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中国本土や世界中の人々の注意を引いた香港の現況について、多くの人たちが私に尋ねてきました。情勢が変化し展開し続けていることもあり、私は次の声明で答えたいと思います。
過去2、3週間は、私たちの都市は動乱と不安の時でした。中環占拠(オキュパイ・セントラル)運動は、政治改革についての考え方や、貧富の格差拡大、そして中国と世界における香港の立場に関して、私たちの社会がますます分極化していることを明らかにしました。占拠運動の学生団体はさらなる民主主義が必要だとして、そのために圧力をかけ、2017年の行政長官選挙のための選挙の枠組みにおいて定められた推薦のプロセスに異議を唱えています。
政府は、選挙の手続きに関する全国人民代表大会の決定が変更されることはありえないとしています。占拠運動について社会各層の人たちがさまざまな立場をとり、地域社会や家族、学校、教会は、行われてきた主張や反論をめぐってますます分裂してきています。
多くの人々が街で起きていることによって不便な思いをしており、この1週間で抗議をする人たちの数が減ったとはいえ、対立は解決していません。出来事は展開し続けており、私たちはこの状況を綿密に追っています。
私たちはこの社会的対立の増大に深く悲しみ悩んでいます。幸運なことに、乱暴な対立と、抗議初日の夜の催涙ガスの使用は繰り返されていませんし、抗議活動家たちも警察も共にその平和を保つことができています。警察は道路からいくつかの障害物を平和的に撤去することができました。
真の対話に取り組むために、私たちはお互いの信頼をもっと大きくする必要があります。しかしながら、これはまだ起こっていません。私たちの聖職者や信徒、そして香港の全ての人々は、この状況の重大さを共有しており、現在の苦しい体験を非常に困難な試練として認識しています。私たちは深い内部的対立と分断という状況に今後長い間直面するでしょう。
教会は全ての人々の和解と牧会的ケアの奉仕へと招かれています。この不確実な時において、私たちは、違いを認めることと共通の善に対する責務を通じて、対話の精神でお互いの理解を促そうとするにあたって、自らの地域社会へと心を開きます。
私たちは精神的に傷ついた人たちを気遣うことを求めます。私たちはデモに参加する人たちや、公共の秩序を維持することを委託されている人たち、そして政府の役職を担う人たちに愛と祈りを差し伸べます。私たちは、香港社会の平和と一致のために働く責務を改めて担うにあたって、支援を必要とする人たちに惜しみない援助を提供します。
預言者エレミヤはこう記しています。「わたしが、あなたたちを捕囚として送った町の平安を求め、その町のために主に祈りなさい。その町の平安があってこそ、あなたたちにも平安があるのだから」
私たちがお互いを理解し合い、自らの違いを解決しようとするにあたって、この領域のために、そして私たちの国のために、共に働きましょう。