5日に宇都宮市内の病院で行われた北関東医療相談会の外国人向け健診で、12年前にバングラデシュから来日し今も難民認定を申請中の仮放免者であるカトリック信徒のAさんが、本紙の取材に日本語で応じた。Aさんは日本における外国人の立場(扱い)が差別的になっているとして、「変えてほしい」と訴えた。以下はAさんのコメントである。なお、この取材では本人の安全を考慮してAさんの写真撮影は行わず、匿名とした。
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日本における外国人の立場(扱い)は差別的になってきています。日本に来た外国人には(かつて)外国人登録カードがあり住民票がありました。私たち3500人ぐらいの仮放免の人たちは住民票がありません。2012年に制度が変わって、住民票が取れないのです。2011年に中古の車を買った後、それを廃車にしたいと思ったら、印鑑証明書が必要で、住民票がないためにそれを得られませんでした。
こういう差別的な扱いは国自体がやっているのです。国は人間として最低限のことをやってほしい。仮放免者は治療も受けられないのです。日本から外国人を追い出しているのではないでしょうか?実習研修生が学んだことは外国で使えず、彼らを奴隷扱いしているのです。なぜ日本人は見て見ぬ振りをしているのでしょうか?
牛久収容所(入国者収容所東日本入国管理センター、茨城県牛久市)で、誰も見ていないところで、今年だけでも3人ぐらいの被収容者が死にました。仮放免者はお金もなく、生活保護もなく、健康保険もない。就労することもできない。
ビザを持っている外国人は、ビザの更新が1日遅れても不法滞在扱いにされてしまいます。2020年の東京オリンピックに向けて外国人を歓迎するとか言っておきながら、日本人は偽善者だと思います。そういうのは変えてほしいです。収容も止めない限り、被収容者は弱い立場に置かれたままです。
私は2年前に前橋で(北関東医療相談会の)健康診断を受けたことがあり、そのときは高血圧でした。2012年8月にカトリック土浦教会へ行き、そこで洗礼を受けました。その前に聖書を読んで、イエス・キリストがどのように人を助けたかを学びました。私は日本に来て12年になりますが、今は通訳や翻訳で外国人を助けています。
この健康診断に来る外国人が抱えている健康上の問題は、ぜんそくや心臓病など。ぜんそくで僕の仲間が35日間入院した後、死んでしまいました。入管(入国管理センター)では、20錠から40錠もの大量の薬を渡されることがあります。外国人の場合、これまでどんな病気にかかってきたのか分かりません。私の国では学校と病院はタダで利用できますが、日本の病院は商売ですね。
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通称「AMIGOS(アミーゴス)」の名で活動している北関東医療相談会は、カトリックさいたま教区の助祭や教会員が中心となり、生活が困難な仮放免者の外国人のために自費で、無料の健康診断会を毎年行なっている。
この日の診断会で写真撮影を担当し、普段はカトリック土浦教会のマイケル・コールマン神父と、「牛久の友の会」で牛久収容所の被収容者に面会や差し入れをしている加藤健司さんによると、同収容所では収容室に窓がなく、被収容者はストレスが原因で病気になる人がほとんどだという。