足尾鉱毒事件をテーマに制作されるも資金難により仮編集のままだった記録映画『鉱毒悲歌』が、31年ぶりに再編集され今年6月に完成した。映像には稼動中の足尾銅山や、関係者の肉声など、当時の資料が数多く収められている。
映画制作の発端は、1973年、田中正造の闘いを描いた映画『襤縷の旗』上映に影響を受けて、足尾鉱毒事件について研究する「谷中村強制破壊を考える会」が発足したことから始まる。この会は、現存する施設や関係者が存命中に歴史的な事実と遺産を後世に伝えようと、1974年から映像制作に入った。
撮影資金を自力で賄いながら、当時の足尾銅山古河製練所の溶鉱炉から黒煙を上げている光景や、廃墟と化した旧谷中村が残る渡良瀬遊水地のヨシ原の様子などを撮影した。しかし資金難により、撮影すべき課題を残したまま、1979年に撮影を断念した。
それから4年後の1983年、1979年までの映像を元に2時間半程の映像作品に編集。さらに31年後の2014年6月、仮編集状態の作品を再編集し、1時間43分にまとめた『鉱毒悲歌』が、撮影から40年余りが経過をへて完成となった。
映像に出てくる人の多くは、もう会うことのできない世界へ旅立ってしまった。そうした人々が存命中に映像を世に出したかったが実現できずに残念だと、『鉱毒悲歌』制作委員会制作委員長の谷博之さんは語る。
8月31日に群馬県館林市、9月20日に栃木県宇都宮市、10月11日に同県佐野市で上映会が開かれる。8月の上映会では谷制作委員長も参加し話をする予定。
○『鉱毒悲歌』上映と谷博之さんのお話をきく会
日時:2014年8月31日(日)午後1時~1時半開場
場所:館林市役所文化会館2F3号室(住所:群馬県館林市城町3−1)
料金:1000円
定員:70人
主催:NPO法人足尾鉱毒事件田中正造記念館
問い合わせ:田中正造記念館(電話:0276・75・8000)、株式会社歩行社(電話:028・624・0288)
○『鉱毒悲歌』第二回上映会
日時:2014年9月20日(土)昼上映・午後2時~2時半開場、夜上映・午後6時~6時半開場
場所:すまいるプラザ宇都宮(住所:栃木県宇都宮市竹林町1063−3)
料金:前売りチケット800円・当日1000円
※ 小中学生・半額、幼児・無料。
主催:蘇る『鉱毒悲歌』制作委員会
問い合わせ:株式会社歩行社(電話:028・624・0288)
○『鉱毒悲歌』を観る会@佐野
日時:2014年10月11日(土)
場所:佐野市中央公民館大ホール(住所:栃木県佐野市金井上町2519)