ルーテル学院大学図書館(東京都三鷹市)で、1630年に印刷されたルター訳の旧新約聖書が発見された。現在、専門家に修復を依頼しており、来年のイースター(復活祭)頃には修復が終わって同図書館に戻ってくる予定だ。
日本福音ルーテル教会の「宗教改革500年関連ニュース」によると、同図書館は昨年耐震工事を行い、その際、図書館の4階に積み上げられていた未整理図書の中から、1630年にフランスのストラスブール(ドイツ語名:シュトラスブルク)で印刷された大判の今回の聖書が発見されたという。
同聖書は、未整理図書として40年近くかなり高温多湿の空間に放置されていたため、多少の痛みや虫食いが見られるというが、専門家に相談の上、現在本格的な修復作業が行われている。
同聖書には、ドイツを代表する版画家・製図家であったマテウス・メリアン(1593〜1650)の銅版による挿絵が多く挿入されており、そのために「メリアン聖書」とも呼ばれている。17世紀の聖書としては、その挿絵の印刷史、美術史上の両方において傑作だと言われているという。
一方、同聖書には現在の聖書と同じく章の他に節がふられており、聖書への章節付加の歴史の観点でも貴重な資料となりそうだ。
来年のイースター頃には修復が終わり同図書館に戻ってくるため、イースターと来年9月に行われる日本ルーテル神学校の一日神学校で、今回発見されたルター訳聖書について解説付きの特別展示が期待されている。