25日国連総会における演説で、オバマ米大統領は中東における暴動や駐リビア米国大使クリス・スティーブンズ氏らの殺害について取り上げ、中東における暴動はイスラム教による攻撃的な映画が影響していると言及した。同日米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
オバマ米大統領はスティーブンズ大使について「米国の最善の精神を身に付けた人物であった」と評価し、「スティーブンズ氏が個人が自由に個人の運命を決め、自由と尊厳と公正、機会に恵まれた生を営む権利を有する信条の原則に立った行動をされておられました」と述べた。
オバマ米大統領は中東における暴動を非難し、米国の立ち位置について「私たちは自由と自決の精神を信じており、これは一つの文化に特有のものではありません。米国の価値観、欧米の価値観というのではなく、全世界的な普遍的価値観といえます」と述べた。
その上で中東社会における民主主義の進展について、真実の民主主義、本当の自由を実現させるのは困難な作業でることを伝えた。
オバマ米大統領はグローバリゼーションによって国々が相互に依存し合うようになることと同時に発生している宗教間、人種間および民族間の摩擦問題について、「信教の自由を望む者は他者の信教の自由も同様に尊重できなければなりません。どの国家においても、異なる宗教を信じる人たちにとっては脅威となる圧力があります。どの文化においても、自分たちの自由を愛する人たちは、他者の自由に対しても寛容にならなければならないことを自覚しなければなりません」と述べた。
反イスラムを主張する動画が米国で制作された件について、オバマ米大統領は「このようなビデオの制作をなぜ米国が禁じないかと言う声が上がっていることはわかります。しかし答えは私たちの憲法の下にあります。米国憲法では言論の自由を保証しています。米国では多くの攻撃的な文面を有する出版物があります。しかし一方で米国人の大多数は、私のようにキリスト教徒であります。それゆえに、私たちは私たちのもっとも信じる神聖な信条についても、冒とく法を適用することはありません。さらに、米国の大統領として、また米軍を司令する責任がある者として、それぞれの立場の人が行う権利を常に保護する側にまわっています。米国民は世界中ですべての人々が彼らの価値観を表現する権利を保護するために戦い、またそのために命を捨ててきたのです」と述べた。
言論の自由を制限する政策については「言論の自由の制限は、沈黙の批判や少数派の抑圧に利用され得る」と警鐘を鳴らした。オバマ米大統領は言論の自由を米国が保護する理由について、「敵意ある演説に対する最強の武器は抑圧ではなく、さらなる対話によって解消されるものであり、偏狭な考えや冒とく法に関して、寛容な精神の必要を伝え、相互理解の価値観を高揚させる必要があると信じるからです。」と述べた。
また情報検閲などの政策が古びたものであることも指摘し、「今の時代は世界中で携帯電はひとつで攻撃的な価値観を広めることができます」と述べた。またイスラム教の預言者ムハンマドを冒とくすることを非難する人々に対し、「同様にイエス・キリストに対する憎しみが生じており、イエスの聖性が汚され、教会が破壊されている現場も見られています」と非難した。
オバマ米大統領はイスラエル-パレスチナ間の摩擦やイランの問題についても言及し、イスラエルとパレスチナの問題については、イスラエルの安全とパレスチナの独立を保護し、二カ国間の対話によって解決することを呼び掛けた。また米国はイランの核兵器保有を回避するためにするべき行動を行うことを伝えた。