【CJC=東京】中国アモイ教区司教に叙階された蔡ビンルイ神父は、バチカン(ローマ教皇庁)と中国政府公認の天主教愛国会双方の承認を得た司教としては3人目。
中国本土に共産党政権が成立以来、バチカン(ローマ教皇庁)との関係は断絶した。この間に修復を模索する動きも断続的に続けられて来た。復交の障害の一つが、カトリック教会司教の任命にかかるもので、バチカン側はもっぱら教皇の問題だとして来たのに対し、中国側は、「自治、自養、自伝」という自主を原則とする、バチカンから独立した教会だけを認める政策に出た。
その間、政府の呼び掛けに従わず、教皇に忠誠を誓い「地下教会」が組織されたものの、しばしば当局の抑圧の対象になってきた。その中で、公認教会と「地下教会」との一致への動きもあり、その成果として、公認教会の司教叙階に際し、バチカン側も同意するという動きが、和解への動きの中で出てきたのが、今回の叙階にまでなったものと見られる。
バチカンはなお台湾との外交関係を維持しており、中国側が復交の前提として台湾との外交関係断絶を要求していることが、次の課題となっている。
蔡司教に続く動きも見られており、近く複数の司教が政府、バチカン双方の承認の下に叙階される模様。これらの司教は30歳代後半から40歳代初めの人たちで、80歳代、中には90歳代に入った現司教と交代することとなろう。この世代間ギャップは、毛沢東時代の宗教抑圧策の結果でもある。
中国政府とバチカン双方の認可については、傅鉄山・北京司教の後任として着座したジョゼフ・李山司教を教皇が2007年9月に教皇が承認、同年12月には事前に承認を得られた甘俊丘・広州司教が着座した。今回の蔡司教はそれに次ぐもの。