国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)の岩切正一郎学長が、フランスの教育功労章を受章した。岩切氏はフランス文学が専門で、近年は多数のフランス戯曲の翻訳を手がけている。15日にフランス大使公邸で叙勲式が行われた。
フランスの教育功労章は、1808年にナポレオン・ボナパルトが皇帝時代に創設した勲章で、高等教育を含む教育全般に功績を残した人物に授与される。フランス人だけでなく、フランス語教育やフランスとの文化交流に貢献した外国人、フランスの学術研究を積極的に紹介した外国人も対象となる。3等級があり、岩切氏が受章したのは2等級のオフィシエ(将校)級。
岩切氏は、19世紀の詩人シャルル・ボードレールの詩を中心としたフランス文学や、フランス語の教育研究に長年にわたり取り組んできた。また近年は、フランス古典悲劇の傑作とされるジャン・ラシーヌの「フェードル」から、ヤスミナ・レザによる現代戯曲「ART」に至るまで、多数のフランス戯曲を翻訳。2008年には、ジャン・アヌイの「ひばり」とアルベール・カミュの「カリギュラ」の翻訳が高く評価され、第15回湯浅芳子賞(翻訳・脚本部門)を受賞している。
叙勲式には約40人が出席し、在日フランス大使館文化参事官代理のフレデリック・ペニヤ氏や、フランス文学者で東京大学名誉教授の田村毅氏らが祝辞を述べた。
岩切氏は受章を受け、「恐縮しているとともに大変うれしく思っております」とコメント。学生時代の同級生や恩師、研究者仲間、学生、同僚ら、多くの人々に支えられてきたことを改めて感じると述べ、「これからも感謝しながら学長職を務めるとともに、日仏の文化交流に微力ながらも貢献したいと思います」と話した。