日本聖書協会主催のクリスマス礼拝が6日、日本基督教団銀座教会(東京都中央区)で行われ、約180人が参加した。礼拝後には第35回聖書事業功労者賞の表彰式が行われ、長年にわたり同協会出版の聖書関連書籍や各種キリスト教書籍の装幀(そうてい)を手がけてきた装幀者の長尾優氏(ロゴス・デザイン)が受賞した。
礼拝は、会衆一同で「まぶねのかたえに」(『讃美歌』107番)を歌って始まり、日本聖書協会の小海光理事(米合同メソジスト教会牧師)が、新約聖書からルカによる福音書2章8~20節を朗読。続いて、真壁巌理事(日本基督教団西千葉教会牧師)が祈祷をささげ、風間義信理事(日本キリスト改革派仙台教会牧師)が「あなたがたへのしるし」と題してメッセージを伝えた。
風間氏は、野宿をしていた羊飼いたちに天使が現れ告げた言葉「あなたがたは、産着にくるまって飼い葉桶に寝ている乳飲み子を見つける。これがあなたがたへのしるしである」(ルカ2:12)を中心に話を進め、産着にくるまっている姿は、イエスが確かに一人の人間として生まれたことを示していると説明。一方、飼い葉桶は本来家畜をつなぎ止めておく場所で、そこで生まれることが、救い主であることを示すしるしとして記されていると話した。
その上で、「私たちの罪からの救いのために、神は人となられ、イエスとなられ、その弱さを体験し、悩みに共感できる方となりました。ここに、このしるしを見せていただいたところ(飼い葉桶)に、真の救い主がおられます」と強調。「この方は、私たちを救うために、飼い葉桶に飛び込んでくださった。そこでご自身を示してくださった、私たちと共におられる生ける真の神様です」と伝えた。
メッセージの後には、会衆一同で「きよしこのよる」(『讃美歌』109番)を歌い、石田学理事長が祝祷をささげた。
礼拝後に行われた第35回聖書事業功労者賞の表彰式では、石田氏が長尾氏に感謝状と副賞を授与した。
長尾氏は、東京のデザイン制作会社に9年勤務した後、1992年に独立してロゴス・デザインを設立。当初はグラフィックデザイン全般を手がけていたが、キリスト教出版社との関わりから装幀に関わる仕事の比重が増えていき、装幀者として現在に至る。
日本聖書協会が出版する書籍では、鈴木範久著『聖書を読んだ30人』(2017年)やN・T・ライト著『わたしの聖書物語』(24年)、ニーナ・スミット著『日々の黙想 366日で読む聖書』(同)などの装幀やレイアウトデザインを手がけてきた。
また、『信仰の半歩前』や『そらになる心は春の』といった自著もあり、現在月刊誌「福音と世界」では「私は告白する、私の神を」を連載している。
受賞後のあいさつでは、日本聖書協会の担当者とのエピソードや、使徒パウロの宣教旅行地図を制作した際、生まれ育った瀬戸内海の寒村での思い出から、地中海を渡るパウロが見たであろう情景を思い浮かべた経験を語り、現代に聖書を読む意味を日々模索しながら仕事をしていることを話した。
最後には、具志堅聖総主事があいさつに立ち、「皆様も必ずどこかで目にしていると思います」と、長尾氏が装幀を手がけたキリスト教書籍がさまざまな出版社から多数出版されていることを紹介。また、来年は日本で聖書普及事業が始まってから150年になるとし、さまざまな記念事業を計画していることを話した。