最新の世論調査によると、米国では若年成人の大多数が「聖書離れ」の状態にある一方で、聖書が人生を変えたと考える若年成人の割合は増加していることが明らかになった。
米国聖書協会は11日、米国における聖書の利用状況をまとめた年次報告書「聖書の状況2024」(英語)の第1章を発表した。第1章は「今日の米国における聖書」と題され、米国における聖書の利用状況や聖書を読む頻度、聖書が生活に及ぼす影響などについての調査結果がまとめられている。調査は1月4日から23日までの20日間に、米国人成人2506人を対象に行われ、標本誤差はプラスマイナス2・73%だった。
調査には、「聖書のメッセージが私の人生を変えた」と思うかどうかを尋ねる質問も含まれている。この質問に「ある程度」または「強く」同意すると答えた回答者は、2024年は58%で、23年の57%に比べわずかに増加した。
年代別に見ると、X世代(44~59歳)は、23年と24年とも全体の傾向と同じで、それぞれ57%、58%だった。
最も若いグループであるZ世代(18~27歳)は、50%(23年)から54%(24年)に増加した。米国聖書協会の最高プログラム責任者(CPO)で「聖書の状況」シリーズ編集長のジョン・ファークワー・プレイク氏は11日、第1章の発表に伴う声明(英語)でこの統計に反応した。
「私たちの最も若い成人は、聖書への関心、聖書への好奇心、聖書との人生を変える交流の兆候を示しています。この傾向が続くなら希望が持てます」
ベビーブーマー世代(60~78歳)は、さらに増加率が高く、64%(23年)から69%(24年)と5ポイント増加した。
一方、ミレニアル世代(28~43歳)は、23年は50%だったのが、24年は48%に減少した。ミレニアル世代はまた、聖書を読む頻度が前年に比べ「減った」と答えた人(12%)が、「増えた」と答えた人(11%)を上回った唯一の世代だった。
全体では、聖書を読む頻度が前年に比べ「増えた」と答えた人は15%で、「減った」と答えた人は10%だった。「増えた」と「減った」の差が最も大きかったのはZ世代で、「減った」と答えた人は9%だったのに対し、「増えた」と答えた人は2倍以上の21%だった。
聖書を読む頻度が前年に比べ「増えた」と答えたベビーブーマー世代以上とX世代は、それぞれ16%と15%だった。対照的に、「減った」と答えた人は、それぞれ10%と9%だった。
一方、24年の「聖書利用者」については、全人口に占める割合と実人数の両方が前年に比べ減少し、共に「聖書の状況」の調査が14年前に始まって以来最低となった。報告書では聖書利用者を、教会の礼拝以外で年に少なくとも3、4回聖書と接する人と定義している。24年の聖書利用者は9900万人で、全人口に占める割合は38%だった。これに対し、21年の聖書利用者は1億2800万人で、全人口に占める割合は50%だった。
聖書を読む頻度や、聖書が神や他者との関係に与える影響、意思決定における聖書の教えの重要性などを問う質問に対する回答に基づき、「聖書と関わりがある」と認定される基準を満たす米国人成人の数は、この1年間ほとんど変化はなく、23年と24年は共に4700万人だった。しかしこの数は、20年の7100万人からは大幅に減少している。この点について、プレイク氏は次のように述べている。
「ますます忙しくなる世界の中で、聖書は私たちの注意を引くために、他のものと競争しなければなりません。『聖書の状況』調査は、ここ数年、特に若い世代で聖書への関心が低下していることを示しています」
プレイク氏の発言が示唆するように、「聖書と関わりがある」とされる人の割合は、X世代(21%)やベビーブーマー世代以上(24%)に比べ、Z世代(11%)やミレニアル世代(12%)で著しく低い。
Z世代やミレニアル世代の大半は「聖書と関わりがない」とされ、それぞれ61%と65%となっている。また、X世代も過半数(58%)が「聖書と関わりがない」とされ、ベビーブーマー世代以上も半数近く(49%)が「聖書と関わりがない」とされた。