日本聖書協会は2日、インターネット上のメタバース(仮想空間)を利用した「バーチャル聖書館」をオープンした。特にデジタル世代である若年層を考えた取り組みで、ゲーム感覚で楽しみながら、同協会の働きを知ってほしいとしている。今後は館内で、聖書展や講演会、利用者とのインタラクティブ(双方向的)なイベント、聖書普及事業開始150周年企画など、さまざまなイベントを展開していく予定だ。
利用者は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどから入館し、自身のアバター(分身)を操作して館内を回り、日本聖書協会の働きを紹介するパネルや動画を見ることができる。パネルは詳細ページ、聖書や各種グッズの購入ページ、聖書普及活動のための寄付ページなどにリンクされている。アバターは複数から選択可能で、チャット機能を用いて利用者同士が館内で交流することもできる。
日本聖書協会はこれまでも、ウェブサイトや各種SNS、ユーチューブなど、インターネット上のさまざまな媒体を用いて情報発信をしてきた。メタバースを使ったバーチャル聖書館は、それらに続く新たな取り組み。
きっかけは、ある青年大会で、日本聖書協会のブースを出展しようとしたところ、出展枠数の関係でかなわなかったこと。その際、デジタル世代が対象であるならば、「バーチャルブースを作って、そこで紹介しよう」と思いついたという。
メタバースは単発の情報が流れていくSNSとは違い、多くの情報を一度に可視化できるという利点もある。また、最近の若者はコミュニケーション手段として、SNSだけでなくオンラインゲームのコミュニケーション機能を使うことも増えてきており、ゲーム感覚で楽しめる要素があることも理由の一つとなった。
日本聖書協会広報部は、「オンラインゲームを作るのは大変ですが、できることから始めてみようと思い取り組んでみました。『聖書協会って面白いことやっているんだ』と興味を持っていただき、特に若年層との接点作りの一助になればと願っています」と話す。
館内の展示内容も、タイパ(タイムパフォーマンス=時間効率)や短文を重視する若い世代を考え、パネルの文字数を極力少なくしたり、要点をまとめた短い動画を配置したりするなど工夫した。また、親しみやすいよう、館内の各所にかわいい子羊のキャラクターを配置。これは、AI(人工知能)に「手を振るフワフワの羊」というプロンプトを入れて生成したという。
バーチャル聖書館は現在、「ギャラリー」という空間デザインを利用している。他にも「ガーデン」「クラスルーム」「オペラホール」「パーティー」「スペースホール」など、利用できる空間デザインは複数あり、今後展開するイベントに合わせてスペースは変更できる。
日本聖書協会広報部は、「多くの方々に聖書の御言葉を届ける必要性と喜びをメタバースの中で楽しみながら知っていただければ感謝です。年齢を問わず、たくさんの方のご来館をお待ちしています。また、教会やキリスト教主義学校、団体の皆様とバーチャル聖書館を使って何かしらのコラボができたらうれしいです。ワクワクするアイデアもお待ちしています」と話している。
現在、オープンを記念して、クイズに答えるとプレゼントをもらえるキャンペーンを行っている。プレゼントには、スポーツバイブルや、日本聖書協会が運営するバイブルハウス南青山で使えるデジタルクーポン券などが用意されており、締め切りは9月30日まで。詳しくは、バーチャル聖書館のページを。