米最大のプロテスタント教団である南部バプテスト連盟(SBC)の執行委員会は17日、教会内の性的虐待に対処し、防止するための専門部署を同委内に設置することを決めた。6月に開かれたSBCの年次総会で、性的虐待に関する常設機関の設置を求める議案が可決されており、それを受けたもの。
5月に執行委員会の議長兼最高責任者(CEO)に就任したジェフ・イオルグ氏によると、専門部署設置に向けた動きは、今年初めに行われた虐待改革実行タスクフォース(ARITF)との話し合いの中から生まれた。
SBCの公式メディア「バプテストプレス」(英語)によると、イオルグ氏は「われわれには、困難で大変な任務に当たった2つのタスクフォースがありました。しかし今は、これから何をするのかという議論をやめ、この問題に対する行政的な対応を講じるための最初の戦略的な行動を起こす時が来たのです」と語った。
専門部署の初期資金は、SCBの慈善活動部門「センドリリーフ」が2022年、SBC内の性的虐待に関する諸問題への対応のために提供した300万ドル(約4億3千万円)の資金のうち、現在までに残っている約180万ドル(約2億6千万円)の中から充てる予定。
「これは決して最後のステップではありません。これは最初のステップです」。イオルグ氏はそう言い、「この最初の決定から、物事はまた発展する可能性があります。しかし、この決定によって私たちは、新たな道を歩み始めるようになります。それは、具体的で明確な行動、実行可能な解決策、あるいは少なくともその出発点となるものです」と続けた。
SBCを巡っては19年、テキサス州の地元紙2紙が、過去20年間にSBCの牧師や執事、日曜学校の教師ら約380人が性的虐待を行い、被害者が700人を超えると報道。SBCはそれを受け、同年の年次総会で、性的虐待などに対して適切な対処を怠った教会を除名とすることなどを決めた。
22年には、SBC関係者による性的虐待についての独立調査の結果を発表。執行委員会の一部の指導者と外部の弁護士が長年にわたり、SBC内の性的虐待に対する対応をコントロールしていたとし、その隠蔽体質を指摘した。また、報告書はSBCの元議長による性的暴行も明らかにしていた。