日本カトリック司教協議会は19日、2022年度(22年4月〜23年3月)に、日本の全16教区(現在は15教区)のうち4教区で、性虐待の申し立てが合わせて5件あったことを、カトリック中央協議会のホームページで公表した。
性虐待の申し立て件数の公表は、21年に作成された「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」に規定されている「監査」に基づくもの。司教協議会は今年3月、16教区に対し、ガイドラインの遵守状況を調査し、確認書を提出するよう要請。同年6月に、ガイドラインの監査細則に基づいて選出した監査役2人が監査を実施した。
その結果、性虐待の申し立てが4教区で5件あったことが明らかになった。司教協議会はこれらの4教区に対して、監査役から提出された調査報告書に記載された所見を通知するとともに、ガイドラインに基づいてさらなる対応を行うよう求めたとしている。
ガイドラインは性虐待について、「未成年者に対して行われる神の十戒の第六戒に反する犯罪である。具体的には、暴力または脅迫、権威の濫用により他者に性的行為を行うように、もしくは受けるように強要すること、合意のあるなしにかかわらず、未成年者と性的行為を行うこと、性的な意味をもった身体的接触、露出、自慰、児童ポルノ素材の制作・公開・所持・頒布、売買春への誘導、各種コミュニケーション手段を用いたものも含む性的な会話及び提案を行うこと」と定義。また、未成年者は「18歳未満の全ての人または法律によってこれらの人と同等とみなされる人」と定めている。
この他、22年度に、司祭・修道者に対し性虐待防止に関する研修を実施した教区は10教区、性虐待被害者のための祈りと償いのミサを実施した教区は15教区、教区内における性虐待防止に関する行事・研修会を実施した教区は5教区だったことも公表された。
なお、22年度内にあった性虐待の申し立てでも、事案の発生は必ずしも22年度内とは限らず、それ以前の場合もある。
司教協議会は20年、16教区のほか、国内の修道会や宣教会も対象に実施した性虐待に関する調査結果を発表。「聖職者より性虐待を受けた」とされる訴えは、1950年以降に16件あったことを明らかにしている(関連記事:日本のカトリック聖職者による児童性的虐待、訴えは16件 司教協議会が調査結果を発表)。