カーダ(仮名)は、上司からもらった聖書を6カ月間夫婦で読み進め、最終的には二人でイエスに従う信仰の決断に至った。そして夫婦は洗礼を受けたのである。それはカーダにとって、肉体的にも霊的にも癒やしをもたらす日となった。(第1回から読む)
「私は時々ひどい頭痛に見舞われます。洗礼を受ける日も、洗礼の直前まで頭痛が激しかったのですが、どうしたことか、洗礼を受けた瞬間から頭痛は消えてしまい、今では完全に治りました」と彼女は証しする。
その後、イエスを信じた夫婦は、その信仰の歩みにおいて実を結び始めた。イエスに従うことで彼らは、内側から湧き上がる大きな喜びを得たのだ。その生ける神との関係からあふれ出る新しい喜びを、彼らは他の人にも分かち合いたい衝動に駆られ、それが抑えられなくなった。最初にカーダがイエスのことを伝えたのは弟だった。
「彼は失業中で不安を感じていました。私は弟に旧約聖書の物語を学ぶように言いました。すると程なく彼は信じたのです。その後、私は家族にもイエスの物語を伝え、皆が信者になりました。夫は姉に物語を伝え、彼女も信者になりました。私たちは信仰を広め続けたのです」
アフガニスタンでイエスに従うことには、必然的なリスクがあるにもかかわらず、カーダの生活はおおむね幸せなものだった。全ての状況は良好であるかのように見えたのだ。
しかしある夜、全てが変わってしまった。
「夫が聖書の勉強会に行ったのですが、いつもの帰宅時間に夫は戻らず、行方不明になってしまったのです」とカーダは当時を振り返る。「彼の電話が圏外で、何度電話をかけても呼び出し音すら鳴らなかったのです。最初はその地域にいないので電話が通じないのだろうと思い、他の家族にも電話をしましたが、彼らの電話でもつながりませんでした。その瞬間、恐怖とさまざまな憶測が私の頭をよぎったのです」
日が沈んで夜になっても状況は変わらず、カーダの不安は増していく一方であった。やがて、恐れていた最悪の事態が現実のものとなってしまったのだ。
「2日後、拷問の傷跡のある彼の遺体が見つかりました。それは衝撃的な経験で、私は言葉を失い、ショック状態に陥ってしまったのです。意識を取り戻したとき、自分が自宅にいることと、夫の遺体が埋葬のために運ばれていることに気付きました」(続く)
■ アフガニスタンの宗教人口
イスラム 99・85%
クリスチャン 0・05%
ヒンズー 0・01%
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