米軍撤退に伴い、旧支配勢力のイスラム主義組織「タリバン」が政権を奪取したアフガニスタンの政変から、8月で2年を迎える。世界の子どもたちを支援するキリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」は、今も現地で支援を続けているが、アフガニスタンに対する国際支援は激減しているという。その一方で、厳しい状況下にある人々は増えており、人口の約7割が人道支援を必要としている。
ワールド・ビジョン・アフガニスタンのアスンタ・チャールズ事務局長によると、アフガニスタンで人道支援を必要とする人々は、この1年間に2440万人から、人口の約7割に相当する2920万人に増加。このうち1500万人は「危機レベル」の食料不安に直面しており、さらにこのうちの270万人は「緊急レベル」の状況だという。
これは世界で4番目に劣悪な状況で、数十年に及ぶ紛争や、気候変動による影響の拡大、国際社会からの孤立に伴う経済悪化が主な原因だという。
その一方で、アフガニスタンに対する国際支援は激減している。2022年に38億ドル(約5530億円)あった支援は、23年には7億4600万ドル(約1080億円)にまで減少。さらにチャールズ氏によると、タリバンは各支援団体の活動に対する制限を強めているという。
ワールド・ビジョンは、紛争や自然災害の影響を受けるアフガニスタンの子どもたちやその家族を援助するため、2001年に緊急支援を実施。それから22年間にわたり、現地のコミュニティーと協力しながら、西部のヘラート、ゴール、バギス、ファリャブの4州で支援活動を行ってきた。政変が起きた21年8月以降だけでも、166万人の子どもを含む332万人に支援を届けている。
ワールド・ビジョン・ジャパンの伊藤真理・緊急人道支援課長は、これまでアフガニスタンの人々に心を留め、寄付をしてくれた人々に感謝を示すとともに、「アフガニスタンでは、人口の約7割に上る人々が非常に厳しい状況にあります。引き続き、アフガニスタンのことを忘れないで、関心を寄せ続けていただけますと幸いです」と話している。
ワールド・ビジョン・ジャパンでは、難民支援や危機にある子どもたちのための募金など、さまざまな種類の募金を行っている。詳しくは、ホームページを。