米軍がアフガニスタンから撤退して1カ月もたたないうちに、タリバンは敵と見なした人々を拘束し、場合によっては処刑し始めている。元米軍特殊部隊将校のキリスト教宣教師であるデビッド・ユーバンク氏は最近、米キリスト教メディアのインタビューに答え、30人から40人が処刑される写真を見たと語った。
ミャンマー現地で奉仕するキリスト教系人道支援団体「フリー・ビルマ・レンジャーズ」を設立し、長年にわたって紛争地域で支援活動を行っているユーバンク氏は、米キリスト教テレビ局CBN(英語)に対し、米軍のアフガニスタンからの撤退は「不名誉なことであり、約束を破るひどい行為です。米国市民を含む何千人もの人々を置き去りにしています」と語った。
ユーバンク氏は現在、タリバンから逃れた多くのアフガニスタン人がやって来ている隣国タジキスタンにいる。「タリバンは今、人々を追い詰め、敵と見なした人の名前をすべて聞き出そうとしています」。ユーバンク氏はそう言い、タリバンが敵と見なすのは「米国政府と協力している人、他の政府と協力している人、タリバンが同意しない非政府組織と協力している人です」と説明した。
ユーバンク氏はまた、「多くの人が処刑されています」と話し、「私は最近、30人から40人が処刑される写真を見ました」と語った。これまでに処刑された詳しい人数は分からないとしつつも、「今は国全体で(処刑が)行われていると思います」と話した。
タリバンは、身分証明書を所持している米国市民の出国は認めているというが、ユーバンク氏は「身分証明書を所持していない人、敵と見なした人は拘束し、多くの場合、処刑にするつもりです」と述べ、アフガニスタン人は「恐怖の中にいます」と語った。
ウェブサイト(英語)によると、1997年から活動しているフリー・ビルマ・レンジャーズはこれまでに、110万人以上の避難民を支援してきた実績がある。
「愛は悪の解毒剤」を信条とするユーバンク氏は昨年、クリスチャンポストのインタビュー(英語)で次のように話していた。
「イエス様が私のためにしてくださることが、私の原動力となっています。私はイエス様の愛を分かち合い、人々がイエス様に従うことを励ましたいと思っています。慰めや恐れ、プライドに導かれるのではなく、私たちは神様が与えてくださる愛の中に入っていくのです。私たちは、命を救い、愛を伝えるために、直接戦闘が行われる地域に行くのです」
米迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)は、アフガニスタンで抗議活動やジャーナリストに対する取り締まりが行われる中、タリバンがイスラム法の厳格な適用を掲げていることから、宗教的少数派に対する弾圧や迫害が強まる懸念が高まっていると警告している。
アフガニスタンには、8千人から1万2千人のキリスト教徒がいると推定されており、その多くがイスラム教からの改宗者であることから、ほとんどが迫害を恐れて人目を避け隠れている。
ICCは「アフガニスタンのキリスト教徒は改宗者という立場であることから、過激派グループと一般社会の両方から迫害の対象となっています」と説明し、「アフガニスタンでは、イスラム教から離れることは非常に恥ずべきことと考えられており、改宗が発覚した場合、改宗者は悲惨な結末を迎える可能性があります」と警告している。