米保守派コメンテーターのグレン・ベック氏によると、アフガニスタンのキリスト教徒1200人が、民間からの寄付金で避難することができた。
米放送ネットワーク「ブレイズメディア」の創業者であるベック氏は、アフガニスタンのキリスト教徒救出のために、米非営利団体「ナザレン基金」と共同で募金活動を展開。ブレイズメディア(英語)によると、同基金は8月25日までに3千万ドル(約33億円)以上の寄付金を集めることができた。
ベック氏が自身のラジオ番組(英語)で語ったところによると、この中には、ベック氏が個人的に契約したローンや、米フォックス・ニュース元司会者のビル・オライリー氏から贈られた「多額の」寄付金も含まれているという。
ベック氏は同日、インスタグラム(英語)を更新し、避難者でいっぱいになった3機目の航空機が離陸したことを伝えた。
「現在、1200人のキリスト教徒が避難し、安全な場所に飛んでいます。今日は良い日でした。あふれんばかりの祈りと支援に感謝します。一人一人の力のおかげで、彼らは生きることができます」
「米国は(困難な人々に)心を寄せるのです。米国は自国の人々や最も弱い人々を見捨てません。国民に力があるから、私たちはそれができるのです。政府ではなく、私たちが米国なのです。政府ができないとき、民間人が積極的に行動するのです」
これらの救出活動は、迫害下にあるキリスト教徒やその他の少数民族を支援するナザレン基金が調整役を果たして行われた。ナザレン基金によると、この活動は主に、アフガニスタンを掌握したイスラム武装組織「タリバン」に狙われやすいキリスト教徒を救出するために開始されたが、他の宗教的少数派や米国民、また「弱者」と呼ばれる人々も、同基金が用意した航空機に搭乗したという。
同基金のティム・バラード最高責任者(CEO)は24日、同基金の公式フェイスブックに投稿した動画(英語)で、航空機が避難者を非公開の「安全な」国へ移送したと語った。また、25日の動画(英語)では、さらに多くの航空機を用意していることに言及。27日の動画(英語)では、同日までに2千人近くを避難させたと明かした。
航空機による救出活動が開始される前の22日の動画(英語)では、次のように言い支援を訴えていた。
「この20年間にキリスト教に改宗したアフガニスタン人はたくさんいます。なぜでしょうか。米政府が自由、インフラ、憲法上の保護を提供してくれたおかげで、彼らは自信を持ってキリスト教徒になり、誇りを持ってIDカードに『私はキリスト教徒です』と書くことができたのです。そのIDカードが今、彼らの死刑執行令状となっているのです」
「タリバンがそれを見たら、彼らは即刻処刑されます。空港に行こうとするとき、iPhoneに聖書アプリでもあるのを見つけられたら、即刻処刑されるのです」
ジョー・バイデン米大統領は30日、アフガニスタンに20年間駐留した米軍の撤退が完了したと発表。現地に取り残された米国人やアフガニスタン人協力者の退避については、今後、外交を通じた支援を続けていく考えを示した。
バラード氏は同日、同基金のフェイスブック(英語)に「今日は悲しい日です。(アフガニスタンの首都)カブールからの人道的なフライトは終わりました。今のところ、私たちは暗闇の中にいます」と投稿。まだ救出のために複数の航空機を用意していた中、米軍撤退によりカブール国際空港が利用できなくなったことで、さらなる救出活動が困難になったことを語った。
しかし、「依然としてすべきことは山ほどあります」とし、アフガニスタン国外に緊急救出することができた約2千人に加え、国外に逃れた他の数千人とも連絡を取り合っているとし、こうした人々へ支援を行う計画だとした。
その一方で、カブールには依然として、同基金が連絡を取り合っているキリスト教徒や米国に協力したアフガニスタン人が何百人も取り残されており、タリバンから「100パーセント狙われる」と指摘。「私たちは諦めません。この救出ミッションは完了にはまだほど遠いところにあります。これは始まりに過ぎないというのが私たちの立場です」と述べ、取り残された人々のために祈るとともに、励ましの言葉を伝えた。