日本キリスト教協議会(NCC)は16日、岸田文雄首相や閣僚らに対し、靖国神社の春季例大祭(4月21~23日)に参拝および真榊(まさかき)の奉納を行わないよう求める靖国神社問題委員会(星出卓也委員長)の文書(4日付)をホームページで発表した。
同委は、靖国神社の春季・秋期例大祭ごとに同様の要請を行うとともに、参拝や真榊奉納を続ける首相や閣僚らに対し、継続して抗議を表明している。
文書では、首相や閣僚らが政府を代表する公的な肩書をもって参拝や真榊奉納を行うことは、「日本国政府と靖国神社が特別な関係にあることを宣伝するものとなり、日本国憲法第20条3項の『政教分離原則』に違反する行為」だと主張。靖国神社がかつて「国家神道の中心的存在」として機能していた歴史に触れるなどした。
また今年1月、陸上自衛隊の幹部らが公用車を用いて靖国神社に集団参拝した問題にも言及。この問題を巡っては、公用車の使用は不適切だったとして、参拝を主導したとされる小林弘樹陸上幕僚副長ら計9人が処分されている。
一方、防衛省は、参加した22人はいずれも休暇を取得しており、参加の強制もなく、私的な参拝であったとし、宗教施設への部隊参拝を禁じた1974年の事務次官通達に違反するものではないとする認識を示している。しかし、同委はこれらの参拝についても、宗教分離原則や事務次官通達に違反するものだとし、「深刻な事態」だと指摘。その上で、首相や閣僚らが参拝や真榊奉納を続けることは、「さらに深刻な事態」をもたらすとしている。