日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会は18日、岸田文雄首相と立憲民主党の泉健太代表に対し、年頭に伊勢神宮を参拝したことに抗議する声明(13日付)をホームページで発表した。
同委は昨年12月にも両氏に対し、伊勢神宮を参拝しないよう求めていた(関連記事:伊勢神宮参拝しないで NCC靖国問題委が岸田首相と立憲民主党の泉代表に要請)。声明は伊勢神宮について、「宗教法人神社本庁の『本宗』であり、皇祖神とされる『天照大神』を祀(まつ)る宗教施設」と指摘。岸田氏に対し、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と規定している憲法20条3項の政教分離原則に「明確に違反した」と厳しく批判した。
さらに、伊勢神宮は靖国神社と共に、かつて日本が犯した侵略戦争と植民地支配推進の精神的支柱だった歴史を持つと指摘。伊勢神宮に首相が参拝することは、「かつての侵略戦争と植民地支配を肯定し、軍国主義の復活を彷彿(ほうふつ)とさせ、再び、アジア諸国に脅威の念を抱かせるばかりでなく、アジア諸国に対する謝罪と悔い改めを表明している者らの善意をも踏みにじる行為」とした。
新型コロナウイルスのオミクロン株感染者数が増える中、東京から伊勢まで大挙して訪れたことについても、「感染対策を率先して行うべき国のリーダーとしての資質を疑わざるを得ない」と批判。より多くの人々が伊勢神宮を訪れるきっかけを作ったことは、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と規定している憲法20条1項にも違反しているとした。
その上で、岸田氏の伊勢神宮参拝に「強く抗議」するとともに、伊勢神宮や靖国神社、その他の神社への参拝だけでなく、一切の特定宗教に関わらないよう強く求めた。
泉氏に対しては、「野党第一党である貴党は、政権与党の憲法違反行為を批判し、憲法を遵守させることこそが、『立憲民主』党の名にふさわしい」とし、「次期政権を担う気概があるのであれば、その党名に恥じることなく、憲法を遵守し、憲法の政教分離原則にのっとった行動をなすべき」と主張。逢坂誠二代表代行と共に党の代表として伊勢神宮に参拝したことを「強く抗議」するとともに、憲法尊重擁護義務を負う政党の公的活動が、厳格に憲法にのっとって行われ、伊勢神宮やその他の神社などへの参拝を二度と行わないよう求めた。