日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会は3日、岸田文雄首相と立憲民主党の泉健太代表に対し、年頭に伊勢神宮を参拝しないよう求める声明(2日付)をホームページで発表した。
声明は、伊勢神宮について「全国に8万といわれる神社を包括する宗教法人神社本庁の『本宗』で、皇祖神とされる『天照大神』を祀(まつ)る宗教施設」と指摘。さらに、1869年の明治天皇の参拝から1945年の敗戦まで、国家神道の中心的存在であり、政府が宗教を利用し、国民の思想を統制した国家神道体制の負の歴史を背負っているとした。
その上で、伊勢神宮に首相や閣僚が参拝を続けることは、「一宗教法人である伊勢神宮と政府とが特別な関係にあり、参拝が内閣にとって不可欠なものとの印象を与えるものであり、日本国憲法第20条3項の政教分離の原則に違反しており、厳に戒められるべき」と指摘。「岸田政権においては悪しき前例に倣わず、憲法を遵守し、年頭の伊勢神宮参拝を行わないよう切に求める」とした。
野党第一党である立憲民主党については、枝野幸男前代表をはじめ、多くの党幹部が年頭の伊勢神宮参拝を続けていることに深く憂慮していると表明。泉氏に対しては、「今年はコロナ感染拡大を理由に見合わせましたが、来年は政教分離原則遵守のために参拝をしないようご決断くださることを要請いたします」と求めた。
さらに、「政府と特定の宗教との関わりを禁ずる政教分離原則は、国家神道体制の再現を防ぐために定められた規定であり、それを無視することは厳に戒められるべき」と指摘。「『立憲民主』党の名にふさわしく憲法を尊重し、政党の立場として、伊勢神宮への参拝をしないよう要請いたします」とした。