日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会は27日、終戦の日の15日に合わせて5閣僚が靖国神社を参拝し、菅義偉首相が玉串料を奉納したことに抗議する声明を発表した。
岸信夫防衛相と西村康稔経済再生担当相は13日、小泉進次郎環境相と萩生田光一文部科学相、井上信治科学技術担当相は15日に靖国神社を参拝。菅首相は15日、自民党総裁として私費で玉串料を奉納した。
同委は政教分離原則の順守を求め、首相や閣僚らが靖国神社に参拝したり、玉串料などを奉納したりすることに対して一貫して抗議を続けており、2日にも、玉串料の奉納や参拝を行わないように要請していた。声明はこうした点に触れた上で、「首相の靖国神社への玉串料奉納は『自民党総裁』の名で、つまり公的な立場で行うものであることを表明して行われたものであり、5閣僚の同神社の参拝も『文部科学大臣』または『国会議員』としての公の立場で記帳がなされており、公的な立場での参拝であることを表明して行ったもの」と指摘。「これらの行為は、日本国憲法第20条3項の政教分離原則に違反し、憲法第99条の憲法尊重擁護義務を侵害する行為というほかありません」と主張した。
さらに、政教分離原則が定められた背景には、靖国神社が戦前・戦中の国家神道体制下において軍国主義の精神的支柱、国民の思想統制の道具となり、その結果、300万人を超える国民、2千万人ものアジア諸国の人々の命を奪う悲惨な結末をもたらしたという歴史の反省があると指摘。首相や閣僚が靖国神社の参拝などを行うことは、政教分離原則と憲法尊重擁護義務に違反する「違法行為」であるとともに、「アジア・太平洋大戦にて国内外に甚大な被害をもたらしたことに対する歴史的反省を欠くもの」と厳しく批判した。