日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会は16日、菅義偉首相に対し、靖国神社の春季例大祭で首相と閣僚が参拝や真榊(まかさき)と呼ばれる供物の奉納をしないよう求める声明を発表した。
春季例大祭は21日から23日まで行われる。声明は、首相や閣僚が靖国神社への参拝や真榊奉納をメディアで公然と知らせる方法で行うならば、政府と靖国神社が特別な関係にあることを国内外に広く宣伝することになり、特定の宗教である靖国神社への関心を呼び起こし、靖国神社を援助、助長、促進するような効果を持つと指摘。首相らが私的なものと主張したとしても、報道を前に行う一連の行為は公的な影響力を発揮し、私的と言うことはできないとした。
また、那覇市が管理する公園に建つ孔子廟(びょう)「久米至聖廟」について、市が公園の使用料を全額免除していたことを政教分離原則に違反するとした2月の最高裁判決に言及。従来は社会通念の名のもとに緩やかに解釈されがちだった政教分離原則が厳密に適用され、許容範囲を超えるものは違憲と判断された事実は重いと指摘した。
その上で、首相や閣僚が靖国神社の戦没者の霊に対して真榊を奉納したり参拝したりすることは明確な宗教的行為であり、明らかに政教分離原則に違反していると主張。「首相および閣僚が一宗教法人である靖国神社の例大祭に、真榊奉納などをせず、憲法の定める政教分離原則を厳格に遵守するよう要請いたします」と訴えた。