日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会は18日、終戦記念日の15日に安倍晋三首相が靖国神社に玉串料を奉納し、高市早苗総務相と萩生田光一文部科学相、小泉進次郎環境相、衛藤晟一(せいいち)沖縄北方担当相の4閣僚が参拝したことを受け、「日本国憲法20条3項の政教分離原則違反であり、憲法尊重擁護義務を無視した行動」だと抗議する声明を発表した。
声明は、首相や閣僚らが靖国神社に参拝したり、玉串料や真榊(まさかき)などを奉納したりすることに対して同委が毎年抗議を続け、今年7月20日にも玉串料の奉納を8月15日に行わないよう要請していたにもかかわらず、首相による8月15日の玉串料奉納は第2次安倍政権発足以来8年連続となり、閣僚の参拝は2016年以降途絶えていたものの、同政権発足以来最多になったと指摘。「同政権の憲法無視の行動は常習的かつ意図的であると言わざるを得ません。戦前・戦中において国家神道体制が軍国主義の支柱となり国民の思想統制およびアジア諸国への侵略を徹底させた歴史の反省に立たず、日本政府が再び、同神社との結びつきを強めようとするものであり、見逃すことができません」と強調した。
さらに、「2000万人ものアジア諸国の人々のいのちを奪った侵略戦争において大きな役割を果たし、現在もなお、その侵略を美化した歴史観を表明する靖国神社へ首相や閣僚が参拝などを行うことは、アジア諸国の人々を傷つけ、互いの良好な関係を損なわせるもの」と指摘。4閣僚が参拝後に語った発言についても、「加害者が被害者の痛みを全く理解せず、理解しようともしない傲慢(ごうまん)な態度」だとし、「歴史認識と発言の稚拙さは政治家としての資質を疑わせるもの」と強く批判した。
その上で、「たとえアジア諸国からの批判がなかったとしても、日本にとって、加害の歴史は、深く心に刻み記憶し続けなければならないものであって、忘却したり、なかったことにしたり、修正するなどしてよいはずがありません。それは、かつて大日本帝国憲法下の政府が行った国民への加害行為とも言うべき無謀にして無策の15年戦争の責任をあいまいにし、ひいては、現在の政府が歴史の審判に耐え得る公正で合理的な政策決定を行うことを妨げるもの」とした。