世界教会協議会(WCC)が新型コロナウイルス禍における教会の役割について3日付で声明(英語)を発表したことを受け、日本キリスト教協議会(NCC)は4日、同声明の日本語訳をホームページに掲載した。
声明では、新型コロナウイルスの世界的流行が社会の根深い分断や不正義、経済的不平等、人種差別や民族差別などのレイシズムを露呈させ、悪化させていると指摘。慢性疾患に苦しむ人々や高齢者、貧しい人々、人種的マイノリティーなどの社会的弱者をことさら脅かしていると強調した。
その上で、「教会と信仰共同体は、最も弱くされた人々や共同体に同伴し、互いに連帯するように神から招かれています」と述べ、「危機と恐れと分断の時期にあって、社会の変革のために希望と癒やしをもたらすことがキリスト者としての私たちの使命」とした。
また、搾取的な経済システムにおける強欲や国家間における一致の欠如によって状況はさらに悪化しているとし、国際的な連帯と協力の必要性を強調。そのために作られた多国間の組織や施策は「不可欠なツール」であり、「必要に応じて改良され、強化され、最も緊急に必要とされる瞬間に阻まれることなく、使用され、支援されるべき」とした。
多くの国で感染抑制のための措置が緩和されていることについては、「さまざまな点で持続可能でなく、不公正で、非人道的であり、家族、コミュニティー、神の被造世界における関係性を損なうようなかつての現状に戻ることができないことは明らか」と指摘。根本的な価値観を振り返り、公正で持続可能なコミュニティーのための新しいモデルを形作っていかなければならないとした。
一部の地域で、新型コロナウイルスの世界的流行に関する陰謀論や誤った神学的解釈が出回っていることにも遺憾の意を示し、「あらゆる場所の教会が力づけられ、分断、疑心、根拠のないうわさを助長する声に反対し、一致、信頼、真実のメッセンジャーとなるように備えられるように祈ります」とした。
さらに、「公衆衛生を守るのではなく、道徳的信念を持った反対意見を抑圧し、人権を侵害するために緊急権限を掌握しようとする政府や当局に異議を唱えます」と批判。「私たちはより平等で持続可能な未来を構想し、そのために取り組み、正義と平和の巡礼が世界的流行を越えて続いていくことを宣言します」と述べ、加盟教会をはじめ関係するすべての団体にさらなる連帯を呼び掛けた。