東日本大震災とそれに伴う福島第1原発事故から13年となった11日、カトリック正義と平和協議会(会長:ウェイン・バーント那覇教区司教)は、声明「福島原発事故を忘れない 能登半島地震の現状を直視し、原子力発電の撤廃を直ちに実現しましょう」を発表した。
声明は福島第1原発事故について、13年前に出された「原子力緊急事態宣言」がいまだに解除されていないことに触れ、「事故からの復旧の目処は立っていません」と指摘。昨年8月に始まった処理水の海洋放出については、多くの反対を押し切って進められたとし、「『復興』の名のもと、事故や環境汚染の現状について真実を知り、心を開いて語り合う機会を奪い続けています」と訴えた。
また、今年1月に発生した能登半島地震では、志賀原発で変圧器から2万リットルもの油が漏れ、外部電源の一部が使えなくなったことや、避難ルートが陥没して使えなくなったこと、大きな被害が出た石川県珠洲(すず)市でかつて原発誘致の話があったことに言及。「今回の地震で、原発事故が日本で再び起こり得たということ、しかも事故が起こっても避難は不可能だったことが明らかになりました」とした。
その上で、ローマ教皇フランシスコが昨年10月に発表した使徒的勧告『ラウダーテ・デウム―気候危機について』の一部を引用。「原発を続けるという選択は、人と人、人と地球の本来の関係を破壊する『権力者の倫理的退廃』を許すことです」と述べ、「私たちは原子力発電に反対します。直ちに原子力発電を撤廃するよう、日本政府、国内電力会社に求めます」とした。