日本キリスト教病院協会(JCHA)の第3回総会が9月29日、「キリスト教病院のミッションの継承」をテーマに衣笠病院(神奈川県横須賀市)で開催された。全国11のキリスト教病院から関係者が参加し、キリスト者の職員数が減少する中、どのようにして理念を継承するかを話し合うとともに、各病院の取り組みを発表するなどした。
総会は、淀川キリスト教病院チャプレンの國安光牧師が説教を取り次ぐ開会礼拝で始まり、JCHAの宮城航一会長と衣笠病院を運営する社会福祉法人日本医療伝道会の古屋修身理事長があいさつ。報告・協議事項の時間には、東京衛生アドベンチスト病院(東京都)、アドベンチストメディカルセンター(沖縄県)、救世軍清瀬病院(東京都)の新規加入について話し合われ、いずれも加入が承認された。
また、来年11月に沖縄県で開催されるアジアキリスト教病院協会(ACHA)の第27回総会についても話があり、これまでキリスト教病院関係者のみを対象としていた参加募集を、キリスト教主義を掲げる診療所や個人のキリスト者医療関係者にまで拡大することが説明された。
ACHA第27回総会は、沖縄県内のキリスト教病院とJCHA事務局が共同で開催する計画。「世界的危機におけるキリスト教病院の役割、経済危機、自然災害、そして世俗主義」をメインテーマに掲げ、11月7日〜9日に那覇市のホテルコレクティブを会場に開く。参加募集は来年6月から、ACHAの会員病院がある日本、韓国、台湾、タイの他、アジア各国で行い、120人以上の参加を目指すという。
その後の主題講演では、衣笠病院チャプレン室室長の大野高志牧師が、「キリスト教病院のミッションの分掌と継承」と題して語った。各病院の発表では、ヴォーリズ記念病院、オリブ山病院、衣笠病院、神戸アドベンチスト病院・アドベンチストメディカルセンター、賛育会病院、東京衛生アドベンチスト病院、淀川キリスト教病院が発表した。
閉会礼拝では、東京衛生アドベンチスト病院牧師部(チャプレンオフィス)部長の永田英子牧師が説教。JCHAの田頭真一副会長があいさつを述べた。総会後には、淀川キリスト教病院、衣笠病院、オリブ山病院による幹事会が開かれ、ACHA第27回総会の詳細について話し合った。
日本のキリスト教病院関係者によるこうした集まりは、理念の継承や経営の課題を抱えるキリスト教病院の交流が必要と考えた淀川キリスト教病院の白方誠彌(せいや)院長(当時、現名誉医院長)の呼びかけで、1993年に開催された「キリスト教病院トップセミナー」にまで歴史をさかのぼる。このセミナーには、韓国、台湾のキリスト教病院からも院長らが参加。その後も「日韓台キリスト教病院最高経営者会議」として、各国持ち回りで毎年開催され、2012年にはACHAへと発展した。
21年には、日本国内で独自にJCHAを組織。第1回総会は同年、淀川キリスト教病院で開催し、第2回総会は昨年、オリブ山病院で開いた。JCHAの田頭副会長は第3回総会を終え、次のように語った。
「それぞれの表現に違いはあっても、イエス・キリストにある隣人愛と永遠のいのちに続く全人医療の実践を持って、互い励まし合い、慰め合い、教え合い、支え合っていくことを覚え、JCHAのこれからの発展を期待して、今総会は締めくくられました。今後将来的には、キリスト教主義を掲げる日本の医療機関が共に連携し、病める人々のために仕えるとともに、日本の医療の在り方についても良い提言ができるようになればと願っています」